こんにちは、YAMAZAKI JOB MEDIA編集長の山崎正義です。副業詐欺で300万円の借金を背負い、そこから復活する過程で130件以上の案件を調査してきました。
「証券会社からマイナンバーを出してくださいと案内が来た。出さないといけないの?」「メールで提出を求められたけど、本物かどうか分からない」——証券口座を持っている会社員の方から、こうした相談を受けることがあります。
この記事では、証券会社がマイナンバーを集める理由(法律上の根拠)、出さなかったときに何が起きるか、そして本物の案内と偽メールの見分け方を、国税庁・個人情報保護委員会・金融庁の公表資料をもとに整理します。ログイン情報を盗まれたときの対策は証券口座が乗っ取られたらどうなる?で説明しているので、この記事はマイナンバーの提出義務と、提出を装った偽の案内に絞ります。
結論:証券口座のマイナンバー提出は法律で決まった手続き。ただし「メールのリンクから出す」はしない
先に要点をまとめます(2026年10月27日時点で、国税庁などの公表資料で確認できた内容です)。
- 証券会社は、配当や売却代金を払ったことを税務署に報告する書類(支払調書など)にマイナンバーを書く義務があります。そのため、口座を持つ人にマイナンバーの提供を求めます
- 2015年12月以前に開いた口座の猶予は終わっています。国税庁のFAQでは、猶予の対象だった口座も、2022年1月1日以後の最初の支払いのときまでに番号を取得して記載する扱いになっています
- NISA口座を開くときは、マイナンバーの告知が必要です(その金融機関にすでに届け出ている場合は不要なことがあります)
- 出さなかった場合、税務署は番号のない書類も受け付けていますが、証券会社からは何度も提出を求められます。証券会社によっては、提出があるまで一部の取引やサービスを制限することがあります
- マイナンバーの提出を求めるメール・SMSのリンクは開かない。公式アプリかブックマークした公式サイトにログインして、同じ案内が出ているかを確かめてから手続きします
なぜ証券会社はマイナンバーを集めるのか
証券会社は、お客さんに配当金や株の売却代金などを支払うと、その内容を「支払調書」などの法定調書にまとめて税務署に提出します。この法定調書に、受け取った人のマイナンバーを記載することが法律で決められています。証券口座で取引する人は、口座を開くときなどに氏名・住所とあわせてマイナンバーを証券会社に告知する仕組みです。
マイナンバーは、法律で決められた目的以外で集めたり渡したりすることが禁止されています(番号法の提供・収集の制限)。証券会社が集めてよいのは、この税務の書類を作るためだからです。逆にいうと、税務と関係のない理由でマイナンバーを求めてくる相手は、それだけで疑ってかまいません。
| 場面 | マイナンバーが必要な理由 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| 証券口座(特定口座・一般口座) | 配当・売却代金などの法定調書に番号を記載するため | 国税庁「法定調書に関するFAQ」 |
| NISA口座の開設 | 「非課税口座開設届出書」の提出時に、氏名・生年月日・住所とあわせて告知する | 国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続」 |
| 税務と関係のない用途 | 集めること自体が原則として認められない | 番号法(特定個人情報の提供・収集の制限) |
出典:国税庁「法定調書に関するFAQ」、国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続について」、e-Gov法令検索「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」
昔から持っている口座でも、いま案内が来るのはなぜ?
マイナンバー制度が始まる前(2015年12月以前)に開いた証券口座には、番号の告知を待つ猶予期間がありました。国税庁のFAQによると、この猶予の対象だった口座も、2022年1月1日以後に最初の支払い(配当や売却代金など)をするときまでに、証券会社が番号を取得して法定調書に記載する扱いです。
そのため、長く取引していなかった口座で久しぶりに配当が出る・株を売るといったタイミングで、証券会社から「マイナンバーの登録をお願いします」という案内が届くことがあります。案内が来たこと自体は、制度上ふつうのことです。
なお、口座によっては、本人が自分で提出した覚えがなくても、マイナンバーが登録済みになっている場合があります。過去に証券業界の共通の仕組みを通じて番号を取得できる措置があったためで、登録の状態はログイン後の画面か証券会社の窓口で確認できます。
マイナンバーを出さないとどうなるか
「出さなかったら罰則があるのか」「口座が使えなくなるのか」は、多くの方が気にするところです。国税庁と個人情報保護委員会が公表している考え方は、次のとおりです。
| 論点 | 公表資料で確認できる扱い |
|---|---|
| 証券会社はどう対応する? | 番号の記載は法律上の義務であることを伝え、改めて提供を求める。それでも受けられない場合は、求めた経過を記録・保存しておくことが望ましい |
| 番号のない書類を税務署は受け付ける? | 受け付けている。ただし、今後の調書作成のため、提供を受けられなかった人には引き続き提供を求めるよう案内している |
| あとで番号が分かったら? | 番号を記載した書類を出し直す扱いになる |
| NISA口座は? | 開設時の告知が必要。出さないとNISA口座は開けない |
出典:個人情報保護委員会「従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればよいですか。」、国税庁「法定調書に関するFAQ」
まとめると、出さないままにしていても税務署側で書類が突き返されるわけではありませんが、証券会社からの提出依頼は止まりません。また、証券会社によっては、マイナンバーの登録があるまで新しい買付や一部のサービスを制限する取扱いをしていることがあります。どんな制限があるかは会社ごとに違うため、口座のある証券会社のお知らせや約款で確認してください。
山崎正義の考えとしては、証券口座を使い続けるなら、正規の手続きで早めに出してしまうほうが、何度も届く案内に気を取られず、偽の案内にも引っかかりにくくなります。
本物の案内はどこから来る?提出の正しい手順
本物の提出手続きは、たいてい次のどれかの形で案内されます。どの形でも、メールに貼られたリンクから入らなくても手続きできるのが共通点です。
| 案内の形 | 本物の手続きの進め方 |
|---|---|
| ログイン後の画面・公式アプリのお知らせ | 公式アプリかブックマークした公式サイトからログインし、マイナンバー登録の画面で番号確認書類と本人確認書類を提出する |
| 郵送の書類 | 同封の届出書に記入し、番号確認書類(マイナンバーカードの裏面や通知カード等)・本人確認書類の写しを付けて返送する |
| メール・SMSでの「お知らせ」 | メールのリンクは使わず、アプリかブックマークからログインして、同じ案内がお知らせ欄に出ているかを確認してから手続きする |
提出の流れを手順にすると、次のようになります。
- 案内が届いたら、メールやSMSのリンクは開かない
- 公式アプリ、または自分でブックマークした公式サイトからログインする
- ログイン後の「お知らせ」や「各種手続き」に、マイナンバー登録の案内があるか確認する
- 案内に従って、番号確認書類と本人確認書類を提出する
- 登録が完了したかを、後日ログイン後の画面で確かめる
電話で確かめたいときも、メールに書かれた番号ではなく、公式サイトに載っている問い合わせ窓口の番号にかけてください。
マイナンバー提出を装った偽メール・偽SMSの見分け方
証券会社をかたって偽サイトに誘導し、ログインIDやパスワードを盗む手口については、金融庁が「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」として注意を呼びかけています。金融庁は、見覚えのある送信元からのメッセージでもリンクは開かず、ブックマークから正規サイトにアクセスすることを求めています。
出典:金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」
「マイナンバーの登録が必要です」という話は、制度上ありうる内容なので、偽メールの口実として使いやすい題材です。次のような特徴があれば、偽物を疑ってください。
| チェック項目 | 偽物を疑うサイン |
|---|---|
| 急がせ方 | 「本日中に登録しないと口座を凍結」「取引停止になります」と期限で脅す |
| 誘導先 | メールやSMSのリンクからログイン画面に飛ばそうとする |
| 求める情報 | マイナンバーと一緒に、ログインパスワード・取引暗証番号・ワンタイムパスワード・クレジットカード番号を入力させる |
| お金の要求 | 「登録手数料」「凍結解除の費用」などの振込を求める |
| 連絡手段 | LINEや個人のメールアドレスに画像を送らせる |
| 口座の有無 | そもそも口座を持っていない証券会社の名前で届く |

マイナンバーの登録に「手数料の振込」や「取引暗証番号の入力」は必要ありません。そうした要求があれば、手続きを止めて証券会社の公式窓口に確認してください。
うっかり入力してしまったら
偽サイトに情報を入力してしまったかもしれないときは、次の順で動きます。
- 証券会社の公式窓口に連絡する(公式サイトに載っている番号で)
- ログインパスワードと取引暗証番号を、公式アプリかブックマークからログインして変更する
- 取引履歴・出金先口座が勝手に変わっていないかを確認する
- マイナンバーを入力してしまった場合は、個人情報保護委員会の相談窓口や、お住まいの市区町村の窓口に相談する。悪用の不安があれば警察(#9110)にも相談する
ログインや出金のときに通知が届く設定、パスキーなどの認証の設定は、被害を広げないために役立ちます。設定の手順は証券口座が乗っ取られたらどうなる?不正ログインの手口と防ぐ5つの手順にまとめています。
マイナンバー提出の前に確認しておくこと
提出の前後で、あわせて確認しておくと手続きがスムーズになることを整理します。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 登録住所・氏名が今のものか | 本人確認書類と登録内容が違うと、手続きが進まないことがある |
| NISA口座をほかの金融機関で持っていないか | NISA口座は1人1つ。開設時に税務署の確認が入る |
| 使っていない口座がないか | 使わない口座にも案内が届き続ける。整理するか決めておく |
| 番号確認書類が手元にあるか | マイナンバーカードがない場合は、番号が載った住民票の写しなどを使うことになる |
住所や名字が変わっているときの手続きは引っ越し・結婚で住所や名字が変わったら証券口座はどうする?、NISA口座の開設で税務署の確認が入る流れはNISA口座の開設に日数がかかるのはなぜ?で説明しています。口座の種類の違いから整理したい方は証券口座の選び方入門からどうぞ。
山崎の見解:本物の手続きがあるからこそ、偽物が紛れ込む
副業歴8年・300万円の詐欺被害・130件以上の調査経験から言えるのは、詐欺は「まったくありえない話」ではなく、「ありそうな話」に紛れて届くということです。マイナンバーの提出は本物の手続きとして実際に案内が来るので、偽メールの口実としても使われやすくなります。
山崎正義が被害を受けたときも、相手は「今だけ」「急いで」と判断の時間を奪ってきました。メールを見て焦ったら、まず一度閉じて、自分でブックマークから証券会社にログインしてください。本物の案内なら、そこにも同じお知らせがあります。投資詐欺の手口全体については投資詐欺の典型手口と見分け方にまとめています。
よくある質問
Q1. 証券会社にマイナンバーを渡して、税金が増えたり資産を調べられたりしませんか?
マイナンバーを出したことで税率や税額が変わるわけではありません。証券会社が法定調書を税務署に出す仕組み自体は、マイナンバー制度の前からあります。番号は、その書類に記載するために使われます。
Q2. マイナンバーカードを持っていなくても提出できますか?
できます。一般的には、通知カード(記載事項に変更がない場合)やマイナンバーが記載された住民票の写しなどで番号を確認し、運転免許証などの本人確認書類とあわせて提出します。使える書類は証券会社ごとに案内があるので確認してください。
Q3. 何年も使っていない口座にも提出が必要ですか?
口座を残しておく限り、配当や売却代金の支払いがあれば法定調書の対象になるため、提出を求められます。使う予定がないなら、解約も含めて整理を検討してよいでしょう。
Q4. 電話で「マイナンバーを教えてください」と言われました。答えてもいいですか?
その場では答えないでください。いったん電話を切り、公式サイトに載っている窓口の番号にかけ直して、本当にその証券会社からの連絡かを確かめます。
Q5. 夫・妻の口座のマイナンバーをまとめて私が出してもいいですか?
証券口座の手続きは、原則として口座名義の本人が行います。家族の口座をまとめて扱う場合の可否や必要書類は、証券会社に確認してください。家族名義の口座で取引すること自体の注意点は、家族名義の証券口座で取引してもいい?で説明しています。
困ったときの相談先
- ① 消費者ホットライン(188)
- ② 警察相談専用電話(#9110)
- ③ 金融庁 金融サービス利用者相談室
- ④ 個人情報保護委員会(マイナンバーの取扱いに関する相談)
- ⑤ 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)
山崎から一言



マイナンバーの提出は、正しい窓口から出せば怖い手続きではありません。怖いのは「メールのリンクから急いで出す」ことです。焦ったときほど、自分のブックマークから入り直してください。



本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。制度の内容は2026年10月27日時点で国税庁・個人情報保護委員会・金融庁が公表している資料にもとづきます。












