NISA口座の開設に日数がかかるのはなぜ?税務署の確認の流れと、「他社にNISA口座がある」と言われたときの対処

NISA口座の開設に日数がかかるのはなぜ?税務署の確認の流れと、「他社にNISA口座がある」と言われたときの対処

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こんにちは、YAMAZAKI JOB MEDIA編集長の山崎正義です。副業詐欺で300万円の借金を背負い、そこから立て直す過程で130件以上の副業・投資案件を調べてきました。今回は、NISA口座を申し込んだのに「すぐに使えない」「他社にNISA口座があると言われた」という相談について、法令(租税特別措置法)と国税庁・金融庁の公表情報をもとに整理します。

証券口座はその日のうちに開けたのに、NISAだけ数日〜しばらく待たされる。これは証券会社の手際が悪いからではなく、法律で決まった確認の手順があるからです。仕組みがわかれば、待つ間に何をすればいいか、断られたときにどこを調べればいいかも見えてきます。

目次

結論:NISAは「1人1口座」を税務署が確かめてから使える

  • NISA口座の申込み(非課税口座開設届出書)を受けた金融機関は、その内容を税務署へ電子的に送ります(租税特別措置法第37条の14第6項)
  • 税務署は、同じ人がほかの金融機関ですでにNISA口座の届出をしていないかを確かめ、結果を金融機関へ返します(同第7項)。この往復の分だけ日数がかかります
  • すでにほかの金融機関にNISA口座がある場合、新しい申込みは原則として通りません。移したいなら、先に今の金融機関で「勘定廃止通知書」をもらう必要があります(同第10項・第11項)
  • 確認の前に買える扱いの金融機関もありますが、あとで重複がわかると、その口座は最初から非課税口座ではなかったものとして扱われます(同第12項)
  • 「身に覚えがない」ときは、税務署への相談か、要件を満たせばe-Taxのマイページで、どこにNISA口座があるかを確かめられます(金融庁 NISA特設ウェブサイト)

つまり、待ち時間は「審査に落ちるかどうか」を見られているのではなく、二重に作られていないかの照合です。山崎はこう整理しています。

NISA口座の開設に日数がかかる理由

NISAは、配当や売却益にかかる約20%の税金がかからない特別な口座です。そのかわり、1人につき1口座だけというルールがあります(金融庁 NISA特設ウェブサイト)。証券会社は自社の中のことしかわからないので、「この人がほかの銀行や証券会社でNISA口座を持っていないか」は確かめられません。そこで、全国の届出が集まる税務署が照合役になります。

法令の流れを、読者の目線に置き換えると次のとおりです。

順番起きること根拠
1本人が金融機関に「非課税口座開設届出書」を出す。このとき氏名・生年月日・住所・マイナンバーを告げて確認を受ける措置法第37条の14第5項・第8項
2金融機関が、届出の内容を速やかに税務署へ電子的に提供する同第6項
3税務署が、それより前に同じ人の届出がほかの税務署も含めて出ていないかを確認する同第7項
4税務署が、結果(受け付けてよいか、だめならその理由)を金融機関へ電子的に返す同第7項
5問題がなければ、NISA口座での取引が始められる。重複していれば、金融機関から本人にその旨と理由が通知される同第7項

※根拠は租税特別措置法第37条の14(e-Gov法令検索)。左から2列目は山崎が条文を読みやすく言い換えたものです。

日数がまちまちなのは、この往復のどこで時間がかかるかが人によって違うからです。たとえば、書類を郵送でやり取りする、マイナンバーの確認書類に不備がある、金融機関を変更する手続きを同時にしている、といった場合は長くなりがちです。具体的な目安の日数は、申し込む金融機関の案内で確認してください。法令は「速やかに」としか定めていません。

マイナンバーが要るのは、この照合のため

口座開設でマイナンバーの提示を求められて、身構える人もいると思います。NISAの場合は、全国の届出を同じ人どうしで突き合わせるのに使われます(措置法第37条の14第8項)。国税庁も、非課税口座開設届出書を出すときは本人確認書類とマイナンバーを確認できる書類の提示が必要だと案内しています。

逆に言えば、NISAの申込みにマイナンバー以外の暗証番号やパスワードは要りません。「審査を早めるので」とログイン情報を聞いてくる連絡は、制度の手続きとは関係のないものです。

「他社にNISA口座がある」と言われたときに考えられる4つのケース

申し込んだあとに「すでにほかの金融機関でNISA口座が開設されているため、受け付けられませんでした」という連絡が来ることがあります。法令上は、税務署が照合した結果、先に届出がある場合に、金融機関から本人へ理由つきで通知されることになっています(第7項)。

本人に覚えがない場合、よくあるのは次の4つです。

ケースどういうことかまずすること
① 昔のNISA口座が残っている2014年からの一般NISA、2018年からのつみたてNISAの口座を、銀行や証券会社ですすめられて作ったまま忘れている当時の通帳・郵便物・メールを探す。見つからなければ下の「調べ方」へ
② 2024年に自動で新NISAの口座になった2023年末に旧NISAの口座(2023年分の一般NISAかつみたてNISAの勘定)があった人は、一定の場合を除き、2024年1月1日にその口座へつみたて投資枠・成長投資枠が自動で設定された(国税庁「新NISAの概要」)旧NISAを作った金融機関で、新NISAがすでに使える状態になっている
③ 同時期に2か所へ申し込んだキャンペーンなどで複数の金融機関に申込みをしていて、先に届いたほうが有効になった使わないほうの申込みを取り下げる
④ 金融機関変更の書類が添えられていない移すつもりで申し込んだが、今の金融機関の「勘定廃止通知書」がまだ出ていない今の金融機関で変更の手続きをしてから出し直す

②は見落とされやすい点です。「新NISAは申し込んだ覚えがない」という人でも、旧NISAの口座を持っていれば、同じ金融機関で新NISAが始まっています。新NISAの枠の仕組みは新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違いで整理しています。

どこにNISA口座があるかの調べ方

国税庁の「新NISAの概要」は、どの金融機関に開設されたかわからないときは、税務署に確認依頼書を出して確認するか、e-Taxで自分で確認する方法があると案内しています(金融庁のNISA特設ウェブサイトも、税務署に相談すれば確認できるとしています)。e-Taxで確認できるのは、e-Taxの利用者識別番号を持ち、マイナンバーを書いた確定申告書などを税務署へ出したことがある人です。

会社員で確定申告をしたことがない人は、e-Taxの条件に当てはまらないことが多いので、税務署に相談するのが早い場合があります。どの金融機関かがわかったら、その金融機関に連絡して、そのまま使うか、変更の手続きをするかを決めます。

今のNISA口座がある人が、別の金融機関で使いたいとき

ほかの金融機関にNISA口座があるまま、新しい金融機関に普通の申込みを出すことは、法令上できません(措置法第37条の14第11項)。手順は次のとおりです。

  1. 今NISA口座がある金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を出す
  2. その金融機関から「勘定廃止通知書」を受け取る(紙か電子)
  3. 新しい金融機関に、非課税口座開設届出書と勘定廃止通知書をあわせて出す(同第10項)
  4. 新しい金融機関から税務署へ届出が送られ、確認が済むと使えるようになる

注意したいのは期限と「その年にもう買ったか」です。金融庁によると、変更の届出はNISA口座を設けようとする年の前年10月1日からその年の9月30日までで、その年に今の金融機関のNISAで1回でも買っていると、その年の変更はできません。積立の自動買付も1回に数えられます。期限ごとの考え方はNISAの証券会社を途中で変えるときの期限で詳しく書いています。

なお、今のNISA口座で持っている投資信託や株は、新しい金融機関へは移せません。元の金融機関で非課税のまま持ち続けることになります。

確認が終わる前に買ったらどうなる?

金融機関によっては、税務署の確認結果が出る前でもNISA口座で買える扱いにしていることがあります。便利な一方で、知っておきたい点があります。

法令では、重複などで本来受け付けられない届出書によって開かれた口座は、「口座の開設の時から非課税口座に該当しない」ものとして扱うと定めています(措置法第37条の14第12項)。証券会社の注意書きでも、無効とわかったNISA口座で買ったものは課税口座で買ったものとして扱われ、取引は取り消せず、配当や売却益にはさかのぼって課税される、と説明されています。特定口座ではなく一般口座の扱いになることがあり、その場合は自分で確定申告が必要になる場面も出てきます。

状況考え方
過去にNISA口座を作った覚えが一切ない確認前の買付で困る可能性は低い。それでも金融機関の注意書きは読んでおく
昔、銀行や証券会社で口座を作った記憶がある確認の結果を待ってから買う。先に上の「調べ方」で確かめる
金融機関を変更する途中勘定廃止通知書を出して、新しい金融機関で使えると案内が来てから買う

数日待つだけで避けられる手間なので、山崎は「迷ったら確認が終わってから」をすすめています。確認前に買えるかどうか、無効だった場合の扱いは金融機関ごとに書き方が違うので、申し込む金融機関の案内で確かめてください。

待っている間にしておくと、あとが楽になること

  • 特定口座(源泉徴収あり・なし)の選択を確かめる。NISAの枠を超えた分や、NISAで買えない商品は課税口座で持つことになります。選び方は証券口座の選び方入門で整理しています
  • ログインの守りを固める。二段階認証やログイン通知の設定は、口座にお金を入れる前に済ませておくのが安全です。手順は証券口座の乗っ取りを防ぐ5つの手順にまとめています
  • 使う枠と金額を決めておく。つみたて投資枠と成長投資枠のどちらで、毎月いくら買うのか。確認が済んだ日に慌てて決めずに済みます

「NISAの審査を代行します」という連絡に注意

NISAの手続きは、本人が金融機関に申し込み、金融機関と税務署がやり取りするだけで完結します。第三者が間に入って「審査を早める」「重複を解消する」ことはできません。

山崎が300万円を失ったときも、入口は「手続きをこちらで進めておきます」という親切そうな言葉でした。次のような連絡が来たら、いったん止まってください。

  • SNSやメッセージアプリで「NISAの審査が止まっている。手数料を払えば通る」と言われる
  • 「税務署の確認のため」と、証券口座のIDやパスワード、暗証番号を聞かれる
  • 「NISAで買えない分を代わりに運用する」と、個人名義の口座への振込みを求められる

税務署や金融機関が、電話やSNSでログイン情報を聞くことはありません。投資の勧誘をしてくる相手が登録業者かどうかは、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で確かめられます。登録があることは最低限の条件であって、安全の保証ではありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. NISA口座は「審査に落ちる」ことがありますか?

税務署が確かめるのは、主に同じ人のNISA口座がほかにないかどうかです。重複していなければ、届出の内容に不備がない限り、受け付けられるのが通常です。証券口座そのもの(総合口座)の開設は、各金融機関が独自の基準で判断します。

Q2. 何日くらいで使えるようになりますか?

法令は金融機関に「速やかに」税務署へ送るよう求めているだけで、日数は定めていません。郵送かオンラインか、書類に不備があるか、金融機関変更を伴うかで変わります。目安は申し込む金融機関の案内で確認してください。

Q3. 2つの金融機関に同時に申し込んでしまいました。

国税庁の「新NISAの概要」によると、複数の金融機関に申し込んだ場合は、申込みの情報が税務署に提供された時がいちばん早い金融機関でNISA口座が開設されます。使わないほうの金融機関に連絡して、申込みの取り下げができるか確認してください。両方で買い付けてしまうと、あとから一方が非課税として扱われなくなるおそれがあります。

Q4. 昔のNISA口座を見つけました。新しい証券会社に移さないといけませんか?

移す義務はありません。見つかった金融機関で新NISAをそのまま使うこともできます。別の金融機関で使いたい場合は、本記事の「別の金融機関で使いたいとき」の手順で変更します。旧NISAで買った商品は移せず、元の金融機関で非課税期間が終わるまで持てます。

Q5. 引っ越しや結婚で住所・名字が変わっています。申込みに影響しますか?

告げた内容と書類の内容が違うと、届出は受け付けられません(措置法第37条の14第9項)。すでにNISA口座がある人が住所や氏名を変えたときは、口座がある金融機関すべてに届出が必要です。詳しくは住所や名字が変わったときの証券口座とNISAの手続きを参照してください。

まとめ

  • NISAの開設に日数がかかるのは、金融機関→税務署→金融機関の往復で「1人1口座」を照合しているから
  • マイナンバーは、この全国の照合に使われる。暗証番号やパスワードは手続きに要らない
  • 「他社にNISA口座がある」と言われたら、昔の口座・2024年の自動設定・二重申込み・廃止通知書の出し忘れを疑う
  • どこに口座があるかは、税務署への相談か、要件を満たせばe-Taxのマイページで確かめられる
  • 確認前の買付は、重複がわかると最初から非課税でなかった扱いになる。迷ったら確認が済んでから

投資を始める全体の順番は、株式投資の始め方ロードマップで整理しています。

出典(一次情報)

山崎から一言

NISAの待ち時間は、あなたが疑われているのではなく、二重に作られていないかを照合しているだけです。急かしてくる人がいたら、その人のほうを疑ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

NISA口座の開設に日数がかかるのはなぜ?税務署の確認の流れと、「他社にNISA口座がある」と言われたときの対処

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