投資信託を注文した値段がわからないのはなぜ?ブラインド方式の仕組みと、約定日・受渡日が株と違う理由

投資信託を注文した値段がわからないのはなぜ?ブラインド方式の仕組みと、約定日・受渡日が株と違う理由

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

「投資信託を1万円分注文したのに、いくらで買えたのかが画面に出てこない」「株なら注文した瞬間に値段が決まるのに、投資信託は翌日にならないと口数がわからない」——山崎の副業相談室には、積立を始めたばかりの方からこうした質問がよく届きます。

山崎正義は、投資で一発逆転を狙って300万円を失った経験があります。当時は値動きを毎日追いかけ、「今日のうちに買えば昨日の値段で買えるはずだ」と思い込んで売買していました。投資信託がなぜ“値段のわからない注文”になっているのかを知っていれば、焦って注文する必要がないことにもっと早く気づけたはずです。この記事では、ブラインド方式の仕組みと理由、約定日・受渡日が株とずれる理由、そして注文するときに見落としやすい点を整理します。

ETFとの違い(取引所でリアルタイムに売買できるかどうか)はETFと投資信託の違いで、株の約定日・受渡日の数え方は株を売った代金はいつ引き出せる?で説明しています。この記事は、投資信託の「注文してから値段が決まり、お金や口数が動くまで」に絞ります。

目次

結論:投資信託は「注文した日の夜に決まる値段」で売買される

先に要点をまとめます。

  • ブラインド方式とは:注文の時点では売買の値段(基準価額)がわからず、締切後に算出される基準価額で約定する仕組み
  • 理由:投資信託の値段は、中に入っている株や債券の終値から1日1回計算されるから。すでに公表された値段で売買できると、後から出たニュースを見て有利な注文を出す人が得をし、ほかの保有者が損をする
  • 国内資産の投資信託:多くは注文した日が約定日。基準価額はその日の夜に公表される
  • 海外資産の投資信託:海外市場の終値を待つため、約定日が注文の翌営業日になるのが一般的。受渡日も株より遅い
  • 注意点:締切時刻・申込不可日・売却時の信託財産留保額は、ファンドと証券会社ごとに違う。注文前に目論見書と注文画面で確認する

ブラインド方式とは:注文時に値段がわからない仕組み

資産運用業協会(旧・投資信託協会)は、基準価額が公表されるのは取引の申込を締め切った後であり、投資家が当日の基準価額がわからない状況で取引することを「ブラインド方式」と説明しています(資産運用業協会「基準価額と分配金」、2026年10月時点)。

投資信託の値段=基準価額は1日1回しか決まらない

株は取引所で買い手と売り手の注文がぶつかり、取引時間中は値段が刻々と変わります。注文が成立した瞬間の値段が、そのまま約定価格です。

一方、投資信託(取引所に上場していない一般的なもの)は、取引所で売買されていません。値段にあたる基準価額は、ファンドが持っている株・債券などをその日の終値で評価し、そこから費用を差し引いて口数で割って計算されます。終値が出そろわないと計算できないので、基準価額は1営業日に1回しか決まりません。多くの投資信託では、基準価額を1万口あたりの金額で表示します。

なぜ「前日の値段」で買えないのか

「すでに公表されている昨日の基準価額で買わせてくれればわかりやすいのに」と思うかもしれません。しかし、それを認めると次のようなことが起きます。

  • 午後に大きなニュースが出て、今日の株価が大きく上がりそうだと分かった
  • その状態で「昨日の安い値段」で買えれば、買った瞬間に含み益が出る
  • その含み益は、もともとそのファンドを持っていた人の取り分が薄まることで生まれる

つまり、すでに知っている値段で売買できると、情報を早く知った人がほかの保有者から利益を取ることができてしまいます。これを防ぐために、「注文はまだ決まっていない値段で受け付け、締切後に計算した基準価額で全員を同じ条件にそろえる」という仕組みになっています。値段が見えない(ブラインド)のは不便さではなく、保有者どうしの公平さを守るためのルールです。

株・ETFとの違いを表で比べる

項目 上場株・ETF 投資信託(非上場)
売買する場所 取引所(市場で買い手と売り手が売買) 運用会社(証券会社などが取り次ぐ)
値段が決まる頻度 取引時間中に常に変わる 1営業日に1回
注文時に値段がわかるか わかる(指値・成行を選べる) わからない(ブラインド方式)
注文の単位 株数(口数) 金額指定・口数指定から選べることが多い
受渡日 約定日から2営業日後 ファンドごとに決まる(数営業日後)

注文から値段が決まるまでの流れ

締切時刻までの注文が「当日の申込」になる

投資信託の注文には、証券会社ごとに当日扱いになる締切時刻があります。多くの証券会社では営業日の15時〜15時30分前後に設定されていますが、ファンドや証券会社によって違います。締切を1分でも過ぎた注文は、翌営業日の申込として扱われます。

2024年11月5日に東証の取引終了時刻が15時30分へ延びたのに合わせて、たとえばSBIアセットマネジメントは日本の株式・ETF・J-REITなどを主に投資するファンドの申込締切を15時から15時30分へ延ばしました。一方で、海外の株式や債券が中心のファンドは締切を据え置いています(SBIアセットマネジメントのお知らせ、2026年10月時点で確認)。同じ証券会社でもファンドごとに締切が違うので、注文画面に表示される「当社締切時間」を確認してください。

締切前であれば注文を取り消せるのが一般的ですが、締切を過ぎると取り消しはできません。「値段が決まってから考え直す」ことはできない、という点は覚えておきましょう。

計算例:1万円を金額指定で買った場合

国内株式に投資するファンドを、購入時手数料なしで1万円分(金額指定)注文したとします。注文した日の夜に、基準価額が1万口あたり15,000円と公表されたとすると、買える口数は次のように計算されます。

項目 計算
注文金額 10,000円
約定日の基準価額 15,000円(1万口あたり)
買える口数 10,000円 ÷ 15,000円 × 10,000口 = 6,666口(端数切り捨ての場合)
翌日以降の画面表示 保有口数6,666口・取得単価15,000円

もし基準価額が14,000円だったら7,142口、16,000円だったら6,250口です。同じ1万円でも、何口買えるかは夜まで決まりません。口数の端数や1円未満の扱いは、証券会社・ファンドによって異なります。

なお、毎月同じ金額で積み立てる場合は、基準価額が高い月は少なく、安い月は多く口数を買うことになります。積立の金額や頻度の決め方は積立投資の設定の決め方で整理しています。

約定日・受渡日が株と違う理由

国内資産と海外資産で約定日がずれる

基準価額は「中身の資産の終値」から計算されるので、終値がいつ出るかによって約定日が変わります。

  • 国内株式・国内債券中心のファンド:東京市場の終値がその日のうちに出るので、多くは注文日がそのまま約定日になります
  • 米国株・全世界株など海外資産を含むファンド:海外市場は日本時間の夜から翌朝にかけて取引されます。現地の終値が出てから計算するため、約定日は注文の翌営業日になるのが一般的です

たとえば月曜日の昼に米国株ファンドを注文すると、月曜日の米国市場の終値(日本時間の火曜日早朝)を反映した基準価額で、火曜日を約定日として計算される、という流れが一般的です。注文画面に「約定予定日」「受渡予定日」が表示されるので、注文前に必ず見ておきましょう。

受渡日(お金や口数が動く日)は株より遅い

株の受渡日は、約定日から2営業日後と決まっています。日本取引所グループによると、2019年7月16日(火)の約定分からこの「T+2」に短縮され、取引日から数えて3営業日目に受渡しが行われています(日本取引所グループ「株式等の決済期間短縮化(T+2化)」、2026年10月時点)。投資信託の受渡日はファンドごとに目論見書で決められていて、国内資産なら約定日から数営業日後、海外資産ならさらに日数がかかるのが一般的です。

種類 約定日の目安 受渡日の目安
上場株・ETF 注文が成立した日 約定日から2営業日後
投資信託(国内資産中心) 注文日(当日)〜翌営業日 約定日から数営業日後
投資信託(海外資産を含む) 注文の翌営業日 国内資産より数日遅いことが多い

具体例として、全世界株式に投資する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の交付目論見書(2023年9月8日使用開始版)では、換金価額は「換金申込受付日の翌営業日の基準価額」、換金代金は「原則として、換金申込受付日から起算して6営業日目から」支払うと書かれています。また、ニューヨークやロンドンの証券取引所・銀行の休業日などは申込そのものができません(三菱UFJアセットマネジメント 交付目論見書)。最新の条件は、ファンドの最新の目論見書で確認してください。

とくに売却(解約)したお金を引き出したい日が決まっている場合は、この差が効いてきます。株なら2営業日後に使えるお金でも、海外資産の投資信託では1週間近くかかることがあります。急な出費に備えるお金は投資信託に入れず、別に分けておくのが安全です。

「申込不可日」は注文しても受け付けられない

海外資産を含むファンドには、申込不可日(ファンド休業日)が設定されていることがあります。投資先の国の市場や銀行が休みの日で、基準価額が計算できないか、資金のやり取りができない日です。日本が平日でも、米国の祝日などは購入・換金の申込ができないことがあり、注文は次の申込可能日に回されます。年末年始や海外の祝日が続く時期は、思ったより約定が遅れることがあります。

売るとき(解約)にも値段は後から決まる

売却も同じブラインド方式です。「今日の値動きを見て、高いうちに売っておこう」と注文しても、約定するのは締切後に計算された基準価額です。さらに、ファンドによっては売却時に信託財産留保額(基準価額に一定の率をかけた金額を差し引くもの)がかかります。かからないファンドも多いので、目論見書の「お申込みメモ」で確認しましょう。

売却の注文方法も、口数指定(持っている口数のうち何口売るか)と金額指定(いくら分売るか)が選べることが多く、全部売る場合は「全部解約」を選ぶのが確実です。金額指定で全額近くを指定すると、値動きによって少しだけ口数が残ることがあります。

信託報酬など、売買の画面に出てこないコストについては投資信託の信託報酬はいつ・どうやって引かれる?で説明しています。

注文する前に確認する5つのこと

確認すること どこで見るか 見落とすと起きること
当日扱いの締切時刻 証券会社の注文画面・取引ルール 翌営業日の約定になり、想定と違う値段になる
約定予定日・受渡予定日 注文確認画面 売却代金を使いたい日に間に合わない
申込不可日 目論見書・運用会社のサイト 注文が次の可能日まで持ち越される
購入時手数料・信託財産留保額 目論見書の「お申込みメモ」「手続・手数料等」 受け取る金額・買える口数が想定より少ない
金額指定か口数指定か 注文画面 全部売ったつもりで端数が残る

山崎の見解:値段が見えないことを利用する勧誘に注意

投資信託のブラインド方式は、「1日の中で上手に売買して得をする」ことができない仕組みです。裏を返せば、日々のタイミングで勝負する商品ではないということでもあります。

投資詐欺の勧誘には、「今日の締切までに申し込めば、上がる前の値段で買える」「値段が後から決まる商品だから、今のうちに送金して枠を押さえて」と、締切を口実に急がせるものがあります。正規の投資信託は自分の証券口座から注文するもので、個人の口座や知らない会社に振り込んで買うものではありません。こうした話が来たら、まず金融庁の登録業者一覧で相手を確認してください。手順は無登録業者の見分け方で整理しています。

また、相場が大きく動いた日に「下がる前に売らなければ」と注文しても、約定するのはその日の夜の値段です。急落時の考え方は相場が急落したときにやってはいけない7つのことも参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 注文した後、いくらで買えたかはいつわかりますか

国内資産中心のファンドなら、多くは注文した日の夜に基準価額が公表され、翌営業日には取引履歴や保有口数に反映されます。海外資産を含むファンドは約定日が翌営業日になるので、反映はさらに1日ほど遅れるのが一般的です。

Q2. 指値で投資信託を買うことはできますか

非上場の投資信託には、株のような指値注文はありません。約定する基準価額は全員同じです。値段を指定して売買したい場合は、取引所に上場しているETFが選択肢になります。違いはETFと投資信託の違いを参照してください。

Q3. 夜や土日に注文するとどうなりますか

締切時刻を過ぎた注文や、土日・祝日の注文は、次の営業日の申込として受け付けられるのが一般的です。その日の締切後に算出される基準価額で約定します(海外資産ファンドならさらに翌営業日の約定)。

Q4. NISAの積立も同じ仕組みですか

NISA口座でも、投資信託の値段の決まり方は同じです。積立の設定日に注文が出され、その日の締切後の基準価額で約定します。設定日が申込不可日や休日にあたる場合の扱いは証券会社によって違うので、積立設定の画面で確認してください。NISAで売った分の枠の戻り方はNISAで売却した分の枠はいつ戻る?で整理しています。

Q5. 年末に売って今年の損益に入れたい場合、期限はいつですか

特定口座では受渡日の年で損益を数えるのが原則なので、投資信託は株より早めに売却を出す必要があります。受渡日はファンドごとに違うため、注文画面の受渡予定日が年内かどうかで判断します。年末の期限の考え方は損益通算と繰越控除の基本もあわせて確認してください。

相談先まとめ

投資の勧誘や取引についての不安があるときは、次の窓口が使えます。

  • 消費者ホットライン(188):最寄りの消費生活センターにつながります
  • 警察相談専用電話(#9110):詐欺被害の疑いがあるとき
  • 法テラス:お金を払ってしまった後の法的な相談先を知りたいとき
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:金融商品取引業者に関する相談・無登録業者の確認
  • 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC):証券会社との取引をめぐるトラブル

山崎から一言

300万円を失った頃の山崎正義は、「今日中に買わないと乗り遅れる」と毎日のように焦っていました。投資信託のブラインド方式を知ってから気づいたのは、値段が後から決まる商品で、数時間の差を気にしても意味がないということです。注文前に見るのは、締切時刻・約定予定日・受渡予定日の3つだけ。それを確認したら、あとは値段が決まるのを待てば十分です。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。本文中の締切時刻・約定日・受渡日の目安は2026年10月時点の一般的な取り扱いを整理したものです。実際の日程は各ファンドの目論見書と証券会社の公式情報でご確認ください。

投資信託を注文した値段がわからないのはなぜ?ブラインド方式の仕組みと、約定日・受渡日が株と違う理由

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

NEXT STEP

怪しい案件を避けて、安全に始めたい方へ

130件以上の調査経験から、山崎正義が「安全に使える」と判断したサービスと選び方をまとめています。

著者への連絡はこちら

山崎正義のアバター 山崎正義 検証者

実体験に基づく検証で副業詐欺被害者をゼロにする.
みなさんが少しでもいい方向へ一緒に迎える様にサイトを
立ち上げてみました。

目次