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「NISAで買おうとしたら、その投資信託だけ『NISA対象外』と表示された」「持っている株が整理銘柄になったら、NISAではもう買えないと言われた」——新NISAが始まってから、山崎の副業相談室にはこうした質問が届くようになりました。
山崎正義は、投資で一発逆転を狙って300万円を失った経験があります。当時の山崎は、商品の仕組みよりも「どれだけ増えそうか」ばかり見ていました。NISAの対象外になる商品には、値動きの仕組みが複雑なもの、元本を取り崩しやすいもの、上場が続くか分からないものという共通点があります。この記事では、金融庁と投資信託協会の公表資料をもとに、NISAで買えない商品と、その理由を整理します。
NISAの2つの枠の基本は新NISAの基本|つみたて投資枠と成長投資枠の違いで説明しています。この記事は「なぜ対象外なのか」と「自分の買いたい商品が対象か確かめる方法」に絞った話です。
結論:NISAは「長く持つ資産づくり」に向かない商品を外している
先に要点をまとめます。
- 成長投資枠で買えないもの:①整理銘柄・監理銘柄、②信託期間が20年未満の投資信託、③毎月分配型の投資信託、④デリバティブ取引を用いた一定の投資信託(レバレッジ型・インバース型など)。金融庁がこの4つを除外と明示しています
- つみたて投資枠で買えるのは、もっと狭い:金融庁の基準を満たし、届け出られた投資信託・ETFだけです。個別株はつみたて投資枠では買えません
- そもそもNISA口座で扱わないもの:債券(国債・社債)、信用取引、FX・CFD、先物・オプションなどは、NISAの非課税の対象になりません
- 対象かどうかは自分で確かめられる:投資信託協会の「成長投資枠対象商品リスト」と、金融庁の「つみたて投資枠対象商品届出一覧」が公開されています
- 「NISAで非課税になる」を売り文句にする勧誘は要注意:未公開株や海外ファンドをNISAで買えるという話は、制度の仕組みと合いません
山崎が伝えたいのは、「対象外」は禁止ではなく、「NISAの非課税という特典を付けるのにふさわしくない」という国の線引きだということです。課税口座では買えますが、なぜ外されたのかを知っておくと、その商品のリスクが見えてきます。
NISAの2つの枠で「買えるもの」の範囲は違う
新しいNISAには、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)があり、非課税で持てる上限は合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です(金融庁「NISA特設ウェブサイト 新しいNISA」)。2つの枠では、買える商品の範囲がまったく違います。
| 商品 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 上場株式(個別株) | ✕ | ○(整理・監理銘柄を除く) |
| 投資信託 | △(金融庁の基準を満たし届け出られたものだけ) | ○(4つの除外に当たらないもの) |
| ETF・REIT | △(基準を満たす一部のETFだけ) | ○(除外に当たらないもの) |
| 毎月分配型・レバレッジ型の投資信託 | ✕ | ✕ |
| 債券(国債・社債)・公社債投信 | ✕ | ✕ |
| 信用取引・FX・先物など | ✕ | ✕ |
外国株や単元未満株は、制度上は成長投資枠の対象になりえますが、NISAで扱うかどうかは証券会社ごとに違います。「制度上買える」と「自分の証券会社で買える」は別だと考えてください。
成長投資枠で買えない4つのもの:それぞれの理由
金融庁は、成長投資枠について「①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外」と示しています(金融庁「新しいNISA」)。投資信託については、運用会社が約款をもとに要件に合うかを判断し、投資信託協会に届け出る仕組みです。一つずつ理由を見ていきます。
① 整理銘柄・監理銘柄:上場が続くか分からない
監理銘柄は、上場廃止の基準に当たるおそれがあると取引所が判断して、投資家に注意を促している銘柄です。整理銘柄は、上場廃止が決まり、廃止日まで売買の機会を残している銘柄です。近いうちに市場で売れなくなるかもしれない株に、長く持つことを前提にした非課税の枠を使わせないのは自然な線引きです。
すでにNISAで持っている株が監理銘柄・整理銘柄に指定された場合、売ることはできますが、その銘柄をNISAで買い増すことはできなくなります。上場廃止までの流れは上場廃止になった株はどうなる?で説明しています。上場廃止後にNISA口座の株がどう扱われるかは、取引している証券会社の案内を確認してください。
② 毎月分配型の投資信託:元本を取り崩しやすい
毎月分配型は、毎月決算をして分配金を出す投資信託です。分配金は「利益」とは限らず、運用の利益を超えて出した分は、預けた元本を払い戻しているだけの「元本払戻金(特別分配金)」になります。仕組みは投資信託の分配金は利益とは限らないで詳しく書いています。
NISAは、利益を再投資して複利で増やしていく長期の資産づくりを想定した制度です。毎月お金を外に出す商品は、その考え方と合いません。加えて、元本払戻金はNISAでなくても課税されないお金なので、分配金の多くが元本払戻金なら、NISAの非課税の特典を使う意味が薄いという事情もあります。
③ レバレッジ型・インバース型など:値動きが複雑で、長期保有に向かない
「デリバティブ取引を用いた一定の投資信託」の典型が、指数の2倍・3倍の値動きを目指すレバレッジ型や、指数と逆の動きを目指すインバース型です。成長投資枠の対象商品の要件では、ヘッジ目的の場合を除いてデリバティブ取引で運用していないことが求められます。
レバレッジ型は「毎日」2倍などの動きを目指すため、上げ下げを繰り返す相場では、長く持つほど指数とのズレが大きくなる性質があります。短期の売買を前提にした商品で、長期保有を前提にしたNISAとは目的が違うのです。山崎が損を膨らませたのも、こうした「短期で大きく取る」発想でした。
④ 信託期間が20年未満の投資信託:長く持てない
投資信託には、運用を終える日(償還日)が決まっているものがあります。信託期間が無期限か20年以上でないと、成長投資枠の対象になりません。償還されれば、まだ持っていたくても現金で戻ってきてしまい、使ったNISA枠は戻らないためです(売却した枠が翌年に戻る仕組みはNISAで売却した分の枠はいつ戻る?を参照)。
| 除外されるもの | 主な理由 | 課税口座では |
|---|---|---|
| 整理銘柄・監理銘柄 | 上場が続くか分からない | 売買できる(リスクは大きい) |
| 毎月分配型 | 元本を取り崩しやすく、複利で増やす趣旨と合わない | 買える |
| レバレッジ型・インバース型など | 値動きが複雑で、長く持つほど指数とズレやすい | 買える |
| 信託期間20年未満 | 長期保有の前に償還されてしまう | 買える |
つみたて投資枠はさらに絞られている
つみたて投資枠で買えるのは、長期・積立・分散投資に向くとして金融庁が定めた基準を満たし、運用会社が届け出た投資信託とETFだけです。対象商品は金融庁「つみたて投資枠対象商品」で、運用会社別・対象資産別の一覧として公開されています。
基準には、販売手数料がかからないこと、信託報酬が一定の水準以下であること、毎月分配型でないことなどが含まれます。信託報酬の法令上の上限は、指定インデックス投資信託の場合、投資先が国内の商品で0.5%、内外・海外の商品で0.75%です(金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」・2026年10月時点)。
また、2026年度の税制改正では、つみたて投資枠の対象を「主に株式に投資するもの」から「株式または公社債に投資するもの」へ広げる見直しが金融庁の主要項目に挙がっています(金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」)。この見直しは告示改正として2026年3月31日に公布され、2026年4月1日から適用されています(金融庁の告示改正のお知らせ・2026年10月時点)。今後、買える商品の範囲が変わることがあるので、買う時点の一覧を確認するのが確実です。
そもそもNISAの対象にならない商品・取引
枠の要件以前に、NISA口座で非課税にならない商品・取引もあります。
- 債券(個人向け国債・社債・外国債券)と公社債投信(MMFなど):NISAの非課税の対象は株式や株式投資信託などで、債券は課税口座で買うことになります
- 信用取引:NISA口座では使えません(仕組みは信用取引とは?で説明しています)
- FX・CFD・先物・オプション:証券口座とは別の仕組みの取引で、NISAの対象外です
- 未公開株・海外の私募ファンド・暗号資産:証券会社のNISA口座で買う商品ではありません
買いたい商品がNISAの対象か確かめる3つの方法
| 確かめ方 | わかること | 見る場所 |
|---|---|---|
| ① 投資信託協会の成長投資枠対象商品リスト | 運用会社が成長投資枠の対象として届け出た投資信託・ETF・REIT | 投資信託協会のNISA関連ページ |
| ② 金融庁のつみたて投資枠対象商品届出一覧 | つみたて投資枠で買える投資信託・ETF | 金融庁「つみたて投資枠対象商品」 |
| ③ 証券会社の商品ページ | 自分の証券会社で、どちらの枠で買えるか | 商品ページの「NISA対象」「つみたて投資枠」などの表示 |
①②は「制度上の対象」、③は「その証券会社が扱っているか」です。最終的に注文できるかは③で決まるので、迷ったら証券会社の表示を確認してください。
「NISAで非課税」を売り文句にする勧誘に注意
山崎がこれまでに調べた投資勧誘の中には、「NISAを使えば利益に税金がかからない」と言いながら、未公開株や海外ファンドへの申し込みを勧めるものがありました。ここまで見てきたとおり、NISAで買えるのは証券会社などのNISA口座で扱う一定の上場株式・投資信託などで、個人や業者に直接お金を振り込んで買う商品がNISAの対象になることはありません。

「NISA対応」「非課税で運用」と書かれていても、振込先が個人名義の口座だったり、金融庁の登録が確認できなかったりする話には応じないでください。登録の確かめ方は無登録業者の見分け方で説明しています。
典型的な手口は投資詐欺の典型手口と見分け方にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 毎月分配型の投資信託を持っています。NISAに移せますか?
移せません。課税口座で持っている商品をNISA口座へ移すこと自体ができない仕組みで、加えて毎月分配型はNISAの対象外です。NISAで投資したい場合は、NISAの対象になっている別の商品を、NISA口座で新しく買うことになります。
Q2. 持っている株が監理銘柄になりました。NISA口座のままでいいですか?
持ち続けることも売ることもできますが、その銘柄をNISAで買い増すことはできません。上場廃止になると市場で売れなくなるので、取引所の発表と証券会社の案内を確認したうえで、自分で判断してください。
Q3. レバレッジ型のETFも成長投資枠では買えませんか?
ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を用いて運用するものは、成長投資枠の対象外です。上場している商品でも対象外になりうるので、投資信託協会のリストと証券会社の表示で確認してください。
Q4. 証券会社によって買えるNISA対象商品が違うのはなぜですか?
制度上の対象であっても、どの商品を取り扱うかは各証券会社が決めているためです。外国株や単元未満株も、NISAで扱うかどうかは会社ごとに違います。
まとめ
- 成長投資枠では、整理・監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型、デリバティブを用いた一定の投資信託が対象外(金融庁)
- つみたて投資枠は、金融庁の基準を満たし届け出られた投資信託・ETFだけ。個別株は買えない
- 債券・信用取引・FX・先物などは、そもそもNISAの対象にならない
- 対象外になる理由は「長く持つ資産づくりに向かない」こと。課税口座では買えるが、外された理由がその商品のリスクを示している
- 確かめるときは、投資信託協会のリスト・金融庁の一覧・証券会社の表示の3つを見る
- 「NISAで非課税」をうたって直接振り込ませる勧誘は、制度と合わない
困ったときの相談先
- ① 消費者ホットライン(188)
- ② 警察相談専用電話(#9110)
- ③ 法テラス
- ④ 日本弁護士連合会
- ⑤ 金融庁 金融サービス利用者相談室
山崎から一言



「NISAで買えない」と表示されたら、それは商品の性格を知るきっかけです。外された理由を一つ確かめてから、その商品を本当に長く持ちたいのか考えてみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。












