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こんにちは、YAMAZAKI JOB MEDIA編集長の山崎正義です。副業詐欺で300万円の借金を背負い、そこから復活する過程で130件以上の案件を調査してきました。投資の勧誘や「うまい話」で迷ったときは、山崎の副業相談室(LINE・無料)に届いた内容を送ってもらえれば、これまでの事例と照らしてお答えします。
「取引先がよく知っている会社だから、その会社の株を買ってみたい」「自分の会社の株なら業績の肌感覚がわかる」——会社員が株を始めると、身近な会社の株に目が向くのは自然なことです。一方で、山崎の副業相談室には「これってインサイダー取引になりませんか」という不安の声も届きます。
先に安心材料を書いておくと、自社や取引先の株を買うこと自体は禁止されていません。問題になるのは、仕事を通じて「まだ公表されていない重要な情報」を知っている状態で売買することです。この記事では、どの情報を知ったら売買できなくなるのか、いつになれば売買してよいのかに絞って整理します。
会社員が株を持つこと全般(就業規則・住民税など)は株式投資は副業になる?会社員が確認することで、自社株を毎月積み立てる制度は従業員持株会は入るべき?奨励金の仕組みとリスクで扱っています。
結論:「会社関係者」が「重要事実」を「公表前」に知って売買すると規制の対象
インサイダー取引規制(金融商品取引法166条など)は、次の3つが重なったときに問題になります。
| 条件 | 中身 | 会社員に当てはめると |
|---|---|---|
| ① 誰が | 会社関係者、またはその人から情報を聞いた人(第一次情報受領者) | 自社の社員はもちろん、取引先の社員として仕事で知った人、退職して1年以内の人も含まれる |
| ② 何を | 投資判断に影響するような「重要事実」 | 業績予想の修正、提携・買収、大きな事故や訴訟など |
| ③ いつ | その事実が「公表」される前に | 適時開示(TDnet)に載るなど、法律上の公表の手続きが済む前 |
この3つが揃った状態で、その会社の株を買う・売ると規制の対象になります。利益が出たかどうかは関係なく、少額でも、損を避けるための売りでも同じです。逆にいえば、仕事で特別な情報に触れていない、あるいは情報がすでに公表済みであれば、自社や取引先の株を売買しても規制には当たりません。
すでに申し込んでしまった方、いま勧誘が届いている方へ。山崎の副業相談室(LINE・無料)では、届いているDMや契約の画面を送っていただければ、これまでに調査した事例と照合してお答えしています。返金・解約の進め方も個別にご案内します。友だち追加は無料で、いつでもブロックできます。

会社員が「会社関係者」になる場面
「自分は役員じゃないから関係ない」と考える方が多いのですが、対象は役員に限りません。
自社の従業員は雇用形態を問わない
正社員だけでなく、契約社員・パート・アルバイト・派遣社員も、職務に関して重要事実を知ったなら会社関係者にあたります。経理で決算の数字を見た、会議の資料で提携の話を知った、といった場面が典型です。
取引先の株でも対象になる
見落としやすいのがここです。上場企業と契約を結んでいる会社(取引先・委託先・監査法人・銀行など)の役員や社員が、その契約の締結・交渉・履行の中で上場企業の重要事実を知った場合も、会社関係者として扱われます。
| 場面 | 規制の対象になりうるか |
|---|---|
| 営業先の上場企業から「来月、大手と資本提携を発表する」と聞いた | 対象になりうる(契約の履行の中で知った) |
| 納品先の上場企業の工場で大きな事故があったと現場で知った | 対象になりうる(発生事実) |
| ニュースやIRで発表済みの内容を見て、取引先の株を買った | 公表済みの情報なので対象外 |
| 仕事で接点のない上場企業の株を、公開情報だけで買った | 対象外 |
退職しても1年間は続く
会社関係者でなくなってから1年以内は、在職中に知った重要事実について引き続き規制の対象です。転職直後に前の会社や前職の取引先の株を売買するときは注意してください。
家族や友人に話すと、聞いた側も対象になる
会社関係者から重要事実を直接聞いた人(第一次情報受領者)も規制の対象です。配偶者に「うちの会社、来週すごい発表がある」と話し、配偶者がその株を買えば、配偶者の取引が問題になります。さらに、利益を得させる目的で未公表の情報を伝えたり、売買を勧めたりする行為(情報伝達・取引推奨)は、話した側も処罰の対象になりえます。
「重要事実」とは何か:4つの分類
重要事実は法律で具体的に列挙されていて、大きく4つに分かれます。
| 分類 | 主な例 | 会社員が触れやすい場面 |
|---|---|---|
| 決定事実 | 新株の発行、自己株式の取得、株式分割、合併・会社分割、業務提携、新製品の企業化、事業からの撤退など | 経営会議の資料、プロジェクトの守秘義務契約 |
| 発生事実 | 災害や事故による損害、主要株主の異動、訴訟の提起・判決、取引先との取引停止など | 現場の事故、法務部の案件、取引先からの通告 |
| 決算情報 | 公表済みの業績予想と比べて、実績や新しい予想が一定以上ずれること | 経理・経営企画での月次・四半期の数字 |
| バスケット条項 | 上の3つに当てはまらなくても、投資判断に著しい影響を及ぼすもの | 不正会計の発覚、主力製品の重大な欠陥など |
決算情報の「一定以上のずれ」には基準があり、一般に売上高は予想比10%以上、経常利益・純利益は予想比30%以上の変動が目安とされています。
日本取引所グループの「重要事実一覧表」では、決算情報の軽微基準を、直近の公表予想値に対する変動率が売上高は上下10%未満、経常利益・純利益は上下30%未満(または変動幅が前事業年度末の純資産額と資本金の額のいずれか少なくない金額の5%未満〈純利益は2.5%未満〉)と整理しています(取引規制府令51条)(2026年10月時点)。
ここで大切なのは、自分で「重要かどうか」を判断しようとしないことです。軽微基準に当たるかどうかは社内の担当部署でも慎重に判断する領域で、社員個人が正確に線引きするのは困難です。「これはまだ外に出ていない情報だ」と感じた時点で、その会社の株の売買は控えるのが現実的な判断です。
いつから売買してよいか:「公表」の意味
重要事実を知っていても、それが公表された後であれば売買は規制の対象外になります。ただし「公表」には法律上の定義があり、社内で発表された、噂になっている、という状態は公表にあたりません。
| 公表の方法 | 公表とみなされる時点 |
|---|---|
| 取引所の適時開示(TDnet) | TDnetに掲載され、誰でも閲覧できるようになった時点 |
| 報道機関への公開 | 2つ以上の報道機関に公開してから12時間が経過した時点 |
| 有価証券報告書などの提出 | EDINETなどで公衆の縦覧に供された時点 |
新聞に「〇〇社、提携へ」と出ていても、会社が正式に開示していない段階の報道(いわゆる観測記事)は公表にはあたりません。確実なのは、その会社のIRページやTDnetで正式な開示を確認してからです。
会社員がやりがちな5つの場面
| 場面 | 何が問題か | 安全側の動き方 |
|---|---|---|
| 決算前に「今期は下方修正らしい」と社内で聞き、持っている自社株を売った | 損を避ける売りも規制対象 | 決算発表(開示)まで売買しない |
| 取引先から大型受注の内定を聞き、その取引先の株を買った | 契約の中で知った重要事実 | 開示を確認するまで待つ |
| 同僚との飲み会で聞いたM&Aの話で株を買った | 同僚が会社関係者なら、聞いた側は第一次情報受領者 | 社内の未公表情報で売買しない |
| 配偶者に社内の話をして、配偶者が株を買った | 配偶者の取引も、話した側の情報伝達も問題になりうる | 家族にも未公表の話はしない |
| 転職して半年後、前職で知った未公表情報をもとに売買した | 退職後1年以内は対象 | 前職関連の株は1年は慎重に |
例外として認められているもの
重要事実を知っていても、規制の対象から外れる取引もあります。
- 従業員持株会の定時・定額の買付け:毎月決まった金額を自動的に積み立てる形は、個人の判断で売買のタイミングを選べないため適用除外とされています。ただし、臨時の追加拠出や、持株会から引き出した株を売る場面は別に考える必要があります
- 重要事実を知る前に決めていた契約・計画による取引:知る前に結んだ契約の履行や、あらかじめ書面で定めた計画どおりの売買など、一定の条件を満たすもの
日本取引所グループの「インサイダー取引規制」のFAQでは、一定の計画に従って毎月行う持株会の定時定額の買付け(1回あたりの拠出額が200万円未満)は適用除外とする一方、未公表の重要事実を知りながら拠出額を増やしたり新規に加入したりすることや、持株会から引き出した株式を売ることは適用除外にならないと説明しています。「知る前契約・計画」は2015年9月の内閣府令改正で適用除外の範囲が広がっており、要件は同じページのよくある質問で確認できます(2026年10月時点)。
例外の要件は細かく、自己判断で「これは例外に当たるはず」と考えるのは危険です。迷ったら勤務先の担当部署に確認するのが先です。
違反したらどうなるか:罰則と会社での処分
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 刑事罰(個人) | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方 |
| 刑事罰(法人) | 法人の業務として違反した場合、法人に5億円以下の罰金 |
| 没収・追徴 | 違反によって得た財産は原則として没収・追徴 |
| 課徴金 | 刑事事件にならなくても、金融庁から課徴金の納付を命じられることがある |
| 勤務先での処分 | 多くの会社は就業規則やインサイダー取引防止規程で禁止しており、懲戒の対象になりうる |
日本取引所グループのインサイダー取引規制のFAQでも、罰則は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(または併科)、法人の計算で違反した場合は法人に5億円以下の罰金とされ、違反で得た財産は原則として没収・追徴されると説明されています。課徴金は、違反行為によって得た経済的利益相当額を基準として定められた方法で算出されます(2026年10月時点)。
「少額なら見つからない」と考える方もいますが、証券取引等監視委員会や取引所は、重要事実の公表前に不自然な売買がないかを日常的に調べています。会社関係者の取引は、勤務先や取引先との関係からたどられやすいと考えておいたほうがよいでしょう。
会社員が売買する前に確認しておくこと
- 勤務先の規程を読む:上場企業やその取引先の多くは、社員の株式売買について「事前届出制」「決算前の売買禁止期間」などのルールを設けています。法律より厳しいルールになっていることもあります
- 仕事で関わった会社を意識する:自社・親会社・子会社・担当している取引先は、売買する前に一度立ち止まる対象です
- 開示を自分の目で確認する:TDnetや企業のIRページで、自分が知っている情報がすでに開示されているかを確かめます
- 迷ったら売買しない:待つことで失うのは売買の機会だけですが、規制に触れると失うものは比べものになりません
「未公開情報で儲かる」という勧誘は詐欺か違法のどちらか
SNSや投資グループでは「上場企業の内部情報を持っている」「発表前の材料株を教える」といった勧誘が見られます。山崎正義が調査してきた事例では、こうした勧誘の多くは情報そのものが存在しない詐欺まがいのものでした。仮に本当に未公表の情報だったとしても、それをもとに売買すれば、聞いた側が規制の対象になりえます。
つまり「内部情報」をうたう勧誘は、嘘なら詐欺、本当なら違法の可能性が高く、どちらに転んでも関わる理由がありません。典型的な手口は投資詐欺の典型手口と見分け方、相手が登録業者かどうかは無登録業者の見分け方|金融庁の登録一覧で確かめる4ステップで確認できます。
株式投資を始めるときの全体の流れは株式投資の始め方ロードマップにまとめています。
インサイダー取引に当たらない場合でも、家族の名義で自分のお金を動かすこと自体が借名取引として問題になる場面は、家族名義の証券口座で取引するときの注意点で5つに分けて整理しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 自社株を持っているだけでも問題になりますか
保有しているだけでは問題になりません。規制の対象は「売買」です。ただし、重要事実を知っている期間に売ったり買い増したりすると対象になりうるため、勤務先の売買禁止期間などのルールに従ってください。
Q2. 自社の業績が良さそうだという「肌感覚」で株を買うのもダメですか
職場の雰囲気や一般的な印象のような、具体的な重要事実にあたらない感覚だけで売買しても、直ちに規制の対象になるわけではありません。ただ、経理の数字や会議の資料など具体的な情報に触れている場合は線引きが難しくなります。そうした立場にいる方は、勤務先の規程に沿って事前に確認するのが安全です。
Q3. 取引先の株を投資信託で持っている場合も対象ですか
投資信託やETFのように、運用会社が多数の銘柄をまとめて運用する商品を通じて持つ場合は、特定の会社の株を自分で選んで売買するわけではないため、一般的には個別株の売買と同じようには扱われません。判断に迷う場合は勤務先の担当部署に確認してください。
Q4. インサイダー取引をしてしまったかもしれない場合は
それ以上の売買をやめ、周囲に話を広げないことです。勤務先のコンプライアンス部門への相談に加えて、状況に応じて弁護士に相談してください。
相談先まとめ
- 勤務先のコンプライアンス・法務部門:社内規程や、売買してよいかの事前確認
- 証券取引等監視委員会の情報受付窓口:不公正取引が疑われる情報の提供
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:金融商品取引業者に関する相談・無登録業者の確認
- 消費者ホットライン(188):「内部情報」をうたう勧誘など、消費者トラブルの相談
- 法テラス:法的なトラブルの相談先の案内
山崎から一言
300万円を失った頃の山崎正義は、「人より早く情報をつかめば勝てる」と信じていました。けれど、本当に人より早い情報を持っている立場の人ほど、その情報で売買してはいけないのが株式市場のルールです。会社員の強みは、身近な会社の事業を理解できることであって、未公表の情報を使えることではありません。公表された情報だけで判断する、迷ったら売買しない。その2つを守っていれば、自社や取引先の株と付き合うことは怖いものではありません。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。本文中の法令・罰則・例外の要件は2026年9月時点で一般的な内容を整理したものです。個別の取引が規制に当たるかどうかは、勤務先の担当部署や弁護士にご確認ください。
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