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こんにちは、YAMAZAKI JOB MEDIA編集長の山崎正義です。副業詐欺で300万円の借金を背負い、そこから地道な副業で立て直すまでに130件以上の案件を調べてきました。この記事では、「公務員は副業禁止」と言われてきたルールが2026年4月からどう変わったのかを、人事院が公表している資料に沿って整理します。
先に結論を書きます。国家公務員の場合、2026年4月から「自分の知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」が、承認を得れば自営で行えるようになりました。ハンドメイド品の販売、絵画・写真・音楽のネット販売、スポーツや芸術の教室、自費出版などが典型例として挙げられています。一方で、安く仕入れて高く売るだけの転売(いわゆるせどり)や、アプリに登録して定型化されたサービスを提供する形の仕事は、今回の見直しの対象として想定されていません。そして「解禁」ではなく、あくまで事前の承認が必要という点は変わっていません。
※本記事は2026年9月時点で公表されている人事院・総務省の資料をもとにした一般的な整理です。承認の可否は所属する府省・自治体が個別に判断します。実際に始める前に、必ず所属先の人事担当に相談してください。
結論|「禁止」から「承認制で広がった」へ。ただし何でも通るわけではない
国家公務員法は、公務員が自ら営利事業を営むこと(自営)を原則として禁じ、所属先の承認を得た場合だけ認めています。これまで承認の対象になっていたのは、不動産の賃貸、太陽光発電の売電、家業として継いだ農業など、ごく限られた事業でした。2026年4月(令和8年4月)からは、そこに2つの枠が加わりました。
| 区分 | 承認の対象になる事業 | 人事院が示している例 |
|---|---|---|
| 従来から | 不動産等の賃貸/太陽光電気の販売/農業等(家業を継いだ場合のみ) | アパート経営、自宅屋根の太陽光の売電など(一定規模以上のとき承認が必要) |
| 2026年4月から追加 | 職員の有する知識・技能をいかした事業 | ハンドメイド品の販売、スポーツや芸術の教室、自費出版など |
| 2026年4月から追加 | 社会貢献に資する事業 | 地域振興イベントの主催、高齢者向けの買い物代行など |
人事院のQ&Aは、この2つの枠に当てはまりさえすれば「必ず承認されるというものではありません」とはっきり書いています。事業計画書を出し、利害関係・本業への支障・公務の信頼性の3点から、所属府省が個別に判断する仕組みです。ここを「公務員の副業が解禁された」と受け取ると、判断を誤ります。
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そもそも公務員の副業は何が「禁止」されているのか
「公務員は副業禁止」とひとまとめに言われますが、法律上は種類ごとに扱いが違います。会社員の就業規則とは仕組みが別物なので、会社員向けの情報をそのまま当てはめないことが大切です(会社員の場合の考え方は副業禁止の就業規則でも処分されるのはどんなときかを整理した記事にまとめています)。
| 副業の形 | 国家公務員 | 地方公務員 |
|---|---|---|
| 自分で事業を営む(自営) | 国家公務員法103条:所属先の承認が必要 | 地方公務員法38条:任命権者の許可が必要 |
| 他の団体から報酬を得て、継続的・定期的に働く | 国家公務員法104条:許可が必要 | 地方公務員法38条:任命権者の許可が必要 |
| 営利企業の役員になる | 原則として認められない | 任命権者の許可が必要 |
| 株式・投資信託などの資産運用 | 一般に「自営」とは扱われないが、職務との利害関係やインサイダー取引には別の規制がある | |
今回の見直しで変わったのは、表の1行目の「自営」のうち国家公務員の部分です。104条の「他の団体から報酬を得て働く」許可や、地方公務員の許可制度そのものは、今回の人事院の見直しとは別の枠組みです。地方公務員については後半で扱います。
株式投資が副業に当たるかの一般論は株式投資は副業になるのかを整理した記事で解説しています。公務員の場合は、所属先の服務規程もあわせて確認してください。
承認されうる事業・されにくい事業の線引き
人事院のQ&Aには、どんな事業が想定されていて、どんな事業が想定されていないかが具体的に書かれています。山崎が読者から受けることの多い副業を当てはめると、次のようになります。
| 副業の例 | 扱いの目安 | 人事院Q&Aでの位置づけ |
|---|---|---|
| 自作のハンドメイド品をネットで販売 | ○ 典型例 | 「自ら制作した物品」の販売として例示 |
| 絵画・写真・音楽をネットで販売 | ○ 典型例 | 個人向けのインターネット販売として例示 |
| スポーツ・芸術の教室を開いて自分で教える | ○ 典型例 | 自ら指導を行う教室として例示 |
| 出版社を通さない自費出版 | ○ 典型例 | 例示あり |
| ブログ・動画配信の広告収入 | △ 慎重に判断 | 「一概に否定されるものではない」が、切り抜き・拡散のリスクから判断は慎重に行われる。肩書きを使わない等の条件が付くこともある |
| 安く仕入れて高く売るだけの転売(せどり) | ✕ 想定外 | 「何らの付加価値を付与せず」高く売る事業は想定していないと明記 |
| アプリに登録して定型化されたサービスを提供 | ✕ 想定外 | 今回の見直しで承認可能とする事業としては想定していないと明記 |
| 仕事で得た知識だけを使う事業 | △ 厳格に判断 | 「必ず承認できないわけではない」が、厳格な判断になりうる |
ポイントは、「本人の趣味や特技で身につけた知識・技能を発揮する事業かどうか」です。転売やアプリ経由の定型サービスが外れているのは、この趣旨から見て、本人の知識・技能をいかした事業とは言いにくいためです。配達や家事代行などをマッチングアプリ経由で請け負う仕事は、アプリ登録型の定型サービスに当たる可能性があるので、自己判断せず相談してください。
もう一つ見落としやすいのが、職務との近さです。自営の内容が所属組織の仕事に極めて近い場合、取引先に職務上の利害関係者が入りそうな場合、所属組織の仕事について個人的な見解を広めるような場合、相場を大きく上回る単価で収入を得る場合などは、承認されないことがあると例示されています。同じ事業でも、別の府省では承認されたのに自分の府省では承認されないことがありうる、とQ&A自身が書いています。
「年20万円」と「週8時間」|承認の目安になる数字
承認が必要な「自営」に当たるかどうかは、営利目的・継続性・規模・店舗などの設備の有無から判断されます。そのうち規模について、人事院は判断の目安を示しています。
| 項目 | 目安(人事院Q&Aより) | 注意点 |
|---|---|---|
| 規模 | 経費を差し引く前の収入見込みが年20万円を超えるなら「自営」と判断されうる | 実店舗を構えて屋号を掲げるなど、外観が整っていれば金額に関係なく自営とされることがある |
| 時間 | 原則として週8時間または月30時間、勤務日は1日3時間の範囲内 | 104条の許可を受けた兼業がある場合は、その時間と合算する |
| 曜日 | 原則は週休日(土日など)のみ | 年次休暇を取る前提の計画は承認が困難とされている |
| 期限 | 新しい2つの枠は2年を超えない期限付きで承認 | 続けるときは、期限の1か月前までに再承認の相談 |
| 収入の変動 | 売上が3割程度増えるようなら、計画書の変更と再承認 | 年20万円を超えそうになったら、その時点で報告して承認の要否を確認 |
ここで気をつけたいのが「20万円」の意味です。確定申告の「給与以外の所得が20万円以下なら申告不要」という話と似ていますが、人事院の目安は経費を引く前の収入(売上)で見ています。材料費を引いたら利益は5万円、という場合でも、売上が年20万円を超える見込みなら自営に当たりうる、ということです。確定申告の20万円の正しい意味は副業の確定申告入門で整理しています。
不動産賃貸・太陽光発電の基準は緩くなった
今回の見直しでは、以前から承認の対象だった不動産賃貸と太陽光の売電についても、承認が必要になる規模が引き上げられました。人事院の概要資料をもとにまとめると、次のとおりです。
| 事業 | 見直し前(〜2026年3月) | 見直し後(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 不動産等賃貸(独立的に区画された部屋の数が10室未満の場合) | 賃料年額500万円以上で承認が必要 | 賃料年額1,000万円以上かつ床面積600㎡以上で承認が必要(それ以外の10室未満は承認不要) |
| 不動産等賃貸(10室以上) | 承認が必要 | 承認が必要(変更なし) |
| 太陽光電気の販売 | 定格出力10kW以上で承認が必要 | 定格出力50kW以上で承認が必要(10〜49kWは承認不要に) |
戸建てや区分マンションを数戸貸している程度なら、承認不要の範囲に収まることが増えます。ただし、不動産の場合も「10室以上」は従来どおり承認が必要です。また、公務員向けの不動産投資の勧誘では「公務員は与信が強いから」とローンを前提にした話が出てきます。承認の要否と、その投資が妥当かどうかは別の問題なので、承認不要だから安心、とは考えないでください。
承認を得ずに始めるとどうなるか
ここは強調しておきます。人事院のQ&Aは、承認を得ずに自営兼業を行った場合について、服務義務違反として懲戒処分の対象になりうるだけでなく、国家公務員法109条13号により「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」に処せられる場合があると明記しています。承認を得たあとに、無断で営業日や規模を変えた場合も同じ扱いです。
「売上が少ないうちは大丈夫だろう」「バレなければいい」という考え方が、公務員の場合は特に危険です。会社員であれば就業規則違反の問題にとどまることが多いのに対し、公務員は法律に罰則があるからです。住民税の通知から副業が職場に伝わる仕組みは会社員と共通なので、住民税を普通徴収にしてもバレるケースも一度読んでおくと、「隠して続ける」という選択肢がいかに成り立たないかがわかると思います。
異動や転勤があった場合も、改めて承認の可否が判断されます。新しい職務との関係で承認できないとなれば、事業をやめる必要があります。「一度承認されたら安泰」ではないことも、始める前に知っておきたい点です。
承認を得るまでの手順(国家公務員の場合)
人事院のQ&Aに書かれている流れを、実際の作業の順番に並べ直すと次のようになります。
- 所属府省の取扱いを確認する:府省によっては、自営に当たらない規模でも届出を求めていたり、承認が難しい業種を内規で示していたりします。
- 事業計画書の案を作る:少なくとも「事業の目的と業務内容」「営業日と営業時間」「収入の予定年額」を書きます。取引先・販売経路、週休日以外は電話やメール対応も含めて業務をしないこと、所属府省の政策に個人的な見解を述べるものではないこと、なども書き添えると判断材料になります。
- 承認申請書の下書きとあわせて担当者に事前相談する:承認は事業開始前に得るものなので、下書きの段階で相談します。
- 開業届を提出する:Q&Aは、開業届は相談前には出さず、承認の見通しを相談したうえで提出するよう案内しています。税務署の控えに受付印が押されなくなったため、提出日を証明する写しが必要なら、e-Taxで提出して「電子申請等証明書」の交付を受ける方法が示されています。
- 承認を得てから事業を始める:承認時に、肩書きを使わないことや、定期的な状況報告、確定申告書の写しの提出などの条件が付くことがあります。
開業届そのものの書き方や、出す・出さないの一般的な判断は副業の開業届は出すべきかを整理した記事にまとめています。承認後は、自営で所得が出れば確定申告が必要です。人事院も、申告をしなかったり誤りがあったりした場合は、税法上のペナルティに加えて懲戒処分等の可能性があると注意を促しています。売上と経費の記録は、最初から会計ソフトでつけておくと、承認時の報告や再承認の資料づくりも楽になります。
どの経費がどこまで認められるかは、副業の経費と按分の考え方を参考にしてください。
地方公務員の場合は「自分の自治体の基準」を確認する
ここまでの人事院の見直しは、一般職の国家公務員が対象です。市役所・県庁・公立学校の教員などの地方公務員は、地方公務員法38条により、任命権者の許可を得て兼業する仕組みで、具体的な基準は自治体ごとの規則や運用で決まっています。
地方公務員についても、国は兼業を後押しする方向に動いています。総務省は2025年6月11日に、兼業許可の運用について自治体向けの通知(技術的助言)を出し、許可の基準を明確にして公表することなどを求めました。すでに基準や事例をホームページで公開している自治体もあります。
確認先は、自治体の例規集(「職員の営利企業等の従事制限に関する規則」など)、人事課の案内や自治体ホームページ、申請様式は所属の庶務担当・人事課です。教員の場合は、教育に関する兼職の特例があるため教育委員会の案内もあわせて確認してください。
国家公務員の新しい枠(ハンドメイド販売や教室など)が、そのまま地方公務員にも当てはまるわけではありません。「国家公務員でOKになったから自分も大丈夫」と考えず、自分の自治体の基準で確認してください。
「公務員でもバレずにできる」という勧誘には近づかない
制度が変わる時期は、それに便乗した勧誘が増えます。山崎がこれまで調べてきた副業案件の中にも、「公務員OK」「本業にバレない」「スマホで完結」をうたうものがありました。ここまで読んでいただいたとおり、公務員の自営は事前の承認が前提で、承認されうるのは本人の知識・技能をいかした事業や社会貢献の事業です。「バレない」ことを売りにする時点で、公務員にとっては制度と真逆の話だと考えてください。
特に次のような話が出てきたら、いったん手を止めることをおすすめします。
- 「承認や届出は要らない」と相手が断言する
- 仕入れた商品を右から左へ売るだけの物販・転売の仕組みを勧められる
- 高額な教材・ツールの購入が最初の一歩になっている
- 「公務員は信用があるからローンが通りやすい」と借入れを前提に話が進む
副業そのものの選び方は安全な副業の探し方に、これまで調べた案件の一覧は検証記事まとめにまとめています。
始める前のセルフチェック
国家公務員の方が自営を考えている場合、次の表で「はい」が並ぶかを確認してから担当者に相談すると、話がスムーズです。
| チェック項目 | はい/いいえ |
|---|---|
| 趣味や特技で身につけた知識・技能を使う事業である(仕入れて売るだけではない) | □ |
| 担当している仕事や所属組織の業務と、内容・取引先が重ならない | □ |
| 作業は土日などの週休日に収まり、週8時間・月30時間の範囲で計画できる | □ |
| 年間の売上見込み(経費を引く前)を根拠つきで説明できる | □ |
| 公務員の肩書きを使わずに集客・販売できる | □ |
| 承認が得られるまで、販売・開講・開業届の提出を待てる | □ |
| 異動で承認が取り消された場合に、事業をやめられる | □ |
「いいえ」がある項目は、事業計画の組み立て方で解決できることもあります。たとえば職務と近い分野なら、テーマをずらす、取引先を限定するなどです。いずれにしても、自己判断で「自営に当たらない」と決めて始めないことが、いちばん大事な点です。
よくある質問(FAQ)
Q. 国家公務員の副業は2026年4月から「解禁」されたのですか?
A. 「解禁」ではなく、承認を得て行える自営の範囲が広がった、というのが正確です。知識・技能をいかした事業と社会貢献に資する事業が新たに承認の対象になりましたが、事業計画書を出して所属府省の承認を得ることが前提で、承認されない場合もあります。
Q. メルカリで不用品を売るのも承認が必要ですか?
A. 人事院のQ&Aでは、1回限りの売買は規制の対象外と考えられるとしたうえで、継続性・反復性、規模、営利目的などから個別に判断するとしています。自宅の不用品を処分する程度であれば通常は自営とは考えにくいですが、仕入れて売ることを繰り返す場合は話が変わります。迷う場合は所属の担当者に確認してください。
Q. ブログやYouTubeの広告収入は認められますか?
A. Q&Aでは「一概に否定されるものではない」とされています。ただし、発言が切り抜かれて拡散するリスクなどから判断は慎重に行われ、承認される場合も肩書きを使わないなどの条件が付くことがあります。
Q. 年間の売上が20万円以下なら、承認は要りませんか?
A. 20万円は「自営」と判断しうる規模の目安で、それ以下なら必ず不要という基準ではありません。店舗を構えて屋号を掲げるなど営業の外観が整っていれば、金額にかかわらず自営とされることがあります。また、府省によっては自営に当たらない場合も届出を求めています。
Q. 地方公務員にも同じルールが適用されますか?
A. いいえ。人事院の見直しは一般職の国家公務員が対象です。地方公務員は地方公務員法38条に基づき、任命権者(自治体)の許可基準で判断されます。総務省は2025年6月に、自治体に許可基準の明確化・公表を求める通知を出しているので、まず自分の自治体の基準を確認してください。
相談先まとめ
- ① 所属先の人事担当・服務担当:承認・許可の要否と手続き(最初の相談先)
- ② 消費者ホットライン(188):「公務員OK」などの副業勧誘で契約してしまったとき
- ③ 警察相談専用電話(#9110):脅し・しつこい勧誘など身の危険を感じるとき
- ④ 法テラス(0570-078374):法制度と相談窓口の案内、条件を満たせば無料法律相談
- ⑤ 日本弁護士連合会:各地の弁護士会の法律相談センターの案内
※本記事は、人事院「自営兼業制度の見直しについて(概要)」「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」(いずれも令和7年12月)および総務省の地方公務員の兼業に関する通知(令和7年6月11日)など、2026年9月時点で公表されている資料をもとにした一般的な情報です。承認・許可の判断は所属する府省・自治体が個別に行います。制度の細部は変更されることがあるため、必ず所属先と公式資料で確認してください。
山崎から一言
公務員の方から「副業って結局ダメなんですよね?」と聞かれることがよくありました。これからは、答えが少し変わります。「趣味や特技をいかしたものなら、きちんと相談して承認を取れば道はある」です。ただ、その道は先に相談し、計画を書き、承認を待つという順番でしか通れません。近道を売り込んでくる話ほど遠回りになります。焦らず、まず人事担当への相談から始めてください。
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