副業の確定申告入門|「20万円ルール」の正しい意味と住民税の申告をやさしく整理

副業の確定申告入門|「20万円ルール」の正しい意味と住民税の申告をやさしく整理

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「副業の利益が20万円以下なら確定申告はしなくていい」——副業を始めた人がいちばん最初に耳にするルールです。これは間違いではありませんが、半分だけしか正しくありません。20万円以下でも申告が必要になるケースがありますし、所得税の確定申告が不要でも、住民税のほうは別に手続きが要ります。

山崎正義は副業歴8年、130件以上の副業案件を調査してきました。相談を受けるなかで、「税金の話が面倒そうだから」という理由で副業そのものを避けてしまう人と、逆に「20万円以下だから何もしなくていい」と思い込んで役所から通知が届いて慌てる人を、どちらも何度も見てきました。この記事は、そのどちらにもならないための整理です。

目次

この記事でわかること

  • 「20万円ルール」が指しているのは所得税の確定申告だけであること
  • 20万円の判定に使うのは「売上」ではなく「所得(=収入−経費)」であること
  • 20万円ルールが使えない人のパターン
  • 確定申告までにやることを5ステップに分けた手順
  • 「確定申告は不要」「税金対策になる」とうたう副業勧誘の見方

結論:20万円以下でも「何もしなくていい」わけではない

先に結論から書きます。会社員が副業をしている場合、税金の手続きは所得税と住民税の2つに分かれていると考えてください。よく言われる20万円ルールは、このうち所得税のほうだけの話です。

税金の種類 手続きの相手 20万円ルール 副業所得が20万円以下のときの扱い
所得税 税務署(国) あり 一定の条件を満たせば確定申告をしなくてよい
住民税 市区町村(自治体) なし 金額にかかわらず申告が必要になるのが原則

つまり「20万円以下だから何もしない」は、住民税の側で手続き漏れになる可能性があります。確定申告をした人は、そのデータが税務署から自治体へ回るため住民税の申告を別途する必要はありませんが、確定申告をしなかった人にはその流れが起きません。だから住民税だけは自分で申告する、という構造になっています。

なお、住民税の申告が必要かどうか・様式・期限は自治体によって案内が異なります。お住まいの市区町村の「住民税申告」のページを一度だけ見ておくのが確実です。

まず押さえる「収入」と「所得」の違い

20万円ルールでいちばん誤解が多いのがここです。判定に使う20万円は、振り込まれた金額(収入)ではなく、そこから必要経費を引いた後の金額(所得)です。

用語 意味 例(Webライターの場合)
収入(売上) クライアントから受け取った金額の合計 年間 32万円
必要経費 その収入を得るために直接かかった費用 通信費・書籍代など 9万円
所得 収入 − 必要経費 23万円(この数字で20万円と比べる)

この例だと、売上32万円という数字だけを見て「完全にアウトだ」と身構える人が多いのですが、判定に使うのは23万円のほうです。逆に「振込は18万円だったから大丈夫」と思っていても、経費がほとんどない副業(アンケートやポイント関連など、原価がかからないもの)では収入がそのまま所得に近づくため、思ったより早く20万円に届きます。

「いくら稼いだか」ではなく「いくら残ったか」で見る。これが最初の一歩です。

20万円ルールが使える人・使えない人

20万円ルールは、正確には「給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下である給与所得者」を対象にした、所得税の確定申告義務の例外です。したがって、次のような場合は前提から外れます。

状況 20万円ルールの扱い 考え方
会社員1社+副業(所得20万円以下) 使える 所得税の確定申告は不要。ただし住民税の申告は必要
アルバイトを掛け持ちなど、給与を2か所以上から受けている 使えないことがある 年末調整をしていない給与がある場合、確定申告が必要になるケースが多い
医療費控除・住宅ローン控除の初年度など、他の理由で確定申告をする 実質的に使えない 確定申告をするなら、20万円以下の副業所得も申告書に含めるのが原則
ふるさと納税でワンストップ特例を使わず申告する 実質的に使えない 上と同じ理由。申告をする以上、所得は全部書く
報酬から源泉徴収されていて、還付を受けたい 使うと損をすることがある 申告義務はなくても、申告すれば納めすぎた分が戻る場合がある
そもそも会社員ではない(専業・扶養内など) 別の基準で考える 基礎控除などとの関係で判定が変わるため、税務署か自治体で確認を

とくに見落とされやすいのが3行目です。「医療費がかさんだので確定申告して還付を受けよう」という年に、副業の18万円を書かずに出してしまう。これは20万円ルールの適用外なので、後から修正が必要になります。確定申告をする年は、20万円ルールは頭から外すと覚えておくと安全です。

副業の所得は「雑所得」か「事業所得」か

副業の所得をどの区分で申告するかも、よく質問を受けます。おおまかな考え方は次のとおりです。

区分 おおまかなイメージ 特徴
雑所得 本業のかたわらで、規模が小さいもの 手続きは比較的簡単。青色申告特別控除は使えない
事業所得 継続的・反復的で、事業として営んでいるもの 開業届や青色申告承認申請などの手続きが前提。帳簿の作成と保存が求められる

近年は、帳簿書類をきちんと作成・保存しているかどうかが判断の材料として重視される方向にあります。「節税になるから事業所得にしたい」という動機だけで区分を選ぶものではない、ということです。副業を始めたばかりで規模も小さいうちは、まず雑所得として正しく申告し、収入が伸びてきた段階で税務署や税理士に相談して切り替えを検討する——この順番が、山崎正義が相談者にすすめている進め方です。

なお、この区分の判定は個別の事情で変わります。この記事は一般的な考え方の整理であり、あなたのケースの結論ではありません。最終的な判断は必ず税務署または税理士に確認してください。

経費にできるかを考える3つの物差し

「これは経費になりますか」という質問には、金額の大小より先に、次の3つを自分に問いかけてみてください。

  1. その支出は、その副業の収入を得るために直接必要だったか(趣味と兼ねているものは要注意)
  2. プライベートと共用しているなら、使った割合で分けられるか(家事按分。通信費・電気代・家賃などが典型)
  3. 第三者に説明できる記録が残っているか(レシート・請求書・利用明細。記録がなければ主張しづらい)

3つ目がもっとも大事です。山崎正義が副業詐欺で300万円の借金を負った時期に痛感したのも、結局は「記録を残していない側が不利になる」という一点でした。税務の場面でも、消費者トラブルの場面でも、これは変わりません。レシートを撮って月ごとのフォルダに入れるだけでも、後の自分がかなり楽になります。

確定申告までの5ステップ

実務としてやることは、年間を通して見るとそれほど多くありません。

ステップ やること 時期の目安
1 副業用の入出金をまとめる(口座や決済手段を本業・生活費と分けておくと後が速い) 副業を始めた月
2 収入と経費を記録する(会計ソフト・表計算ソフトどちらでも可) 毎月
3 年間の収入と経費を集計し、所得(収入−経費)を出す 1月
4 所得と自分の状況から、確定申告が必要か・したほうが得かを判断する 1〜2月
5 確定申告をする(不要なら住民税の申告をする) 原則2月16日〜3月15日ごろ

期限は年によって土日の関係で前後します。国税庁の確定申告特集ページに毎年その年の日程が出るので、1月になったら一度確認してください。住民税の申告期限も原則として同じ時期です。

ステップ1の「口座を分ける」は地味ですが効果が大きい作業です。生活費と混ざった通帳から1年分を仕分ける作業は本当に苦しいので、これから始める人ほど最初にやっておくことをすすめます。副業を始める前の準備については副業初心者が最初に準備しておきたい7つのことにまとめています。

副業が会社に知られる経路と、住民税の徴収方法

税金の話とセットでよく聞かれるのが「会社にバレませんか」です。仕組みとして可能性が高いのは、住民税の金額が給与に対して不自然に大きくなる経路です。会社員の住民税は通常、給与から天引き(特別徴収)されるため、副業分の住民税がそこに合算されると差が出ます。

確定申告書や住民税の申告書には、給与以外の所得にかかる住民税の徴収方法を選ぶ欄があり、自分で納付する方法(普通徴収)を選べる場合があります。ただしすべての所得で必ず選べるわけではなく、自治体の運用にもよります。確実なところは、お住まいの自治体の住民税担当に確認してください。

そのうえで、より根本的な話を1つ。副業が就業規則で許可制になっている会社は珍しくありません。隠すことを前提に副業を組み立てるより、規定を読んで必要なら申請するほうが、長い目で見て安全です。会社員の副業と就業規則の関係は、投資を題材に株式投資は副業になる?会社員が知っておくべき基本と就業規則の考え方で整理しています。

記録を楽にする道具の話

ここまで読んで「記録が大事なのはわかったが続く気がしない」と思った人は、道具を先に決めてしまうのが現実的です。手書きの帳簿でも表計算ソフトでも構いませんが、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込める会計ソフトを使うと、毎月の作業が入力ではなく「確認」に変わります。副業の規模が小さいうちほど、この差がそのまま継続率になります。

当サイトが紹介するのは、調査基準7項目(運営会社情報・料金体系の透明性・収益保証をうたう表現の有無など)を満たすと判断したサービスだけです。クラウド会計ソフトのfreee会計はそのひとつで、無料で試せる範囲があるため、まず画面を見てから決めて構いません。

他のソフトも含めた比較と、そもそも会計ソフトが必要になる規模の目安は副業の確定申告が楽になる会計ソフト比較にまとめました。年間の副業所得が数万円のうちは、無理にソフトを入れず表計算ソフトで十分です。道具にお金をかけるのは、記録が続くようになってからで遅くありません。

「確定申告は不要」「税金対策になる」とうたう副業勧誘の見方

ここからは、副業案件を130件以上調査してきた立場からの注意点です。税金は、副業の勧誘で安心材料として持ち出されやすいテーマでもあります。

山崎正義の調査では、次のような説明の仕方が使われている例が確認されています。

  • 「この副業は雑所得にならないので申告不要です」——所得の種類にかかわらず、申告の要否は金額と状況で決まります
  • 「経費で全部落とせるので実質タダです」——経費は税金の計算上差し引ける費用であって、支出そのものが消えるわけではありません
  • 「法人化すれば税金がかからない」——法人には法人の申告義務と維持コストが生じます
  • 「税務署に聞かなくていい、こちらで全部やる」——本人が責任を負う申告内容を第三者任せにするのは危険です

いずれも、断定はできませんが説明の正確さを欠いている、あるいは読者の判断材料を減らす方向に働いていると言えます。副業歴8年・300万円の詐欺被害・130件以上の調査経験から判断すると、税金の説明が雑な案件は、そのほかの説明も同じ程度に雑であることが多いです。

「初期費用が必要」「稼げる金額が決まっている」といった勧誘に出会ったときの見分け方は副業詐欺の見分け方7つのチェックポイントに、当サイトが案件を見るときの物差しは調査基準7項目にまとめています。申告の話が出るところまで進む前に、案件そのものを確かめてください。

税金の心配をする段階まで到達できる副業を探しているなら、実績を積みながら報酬の記録も残る安全なクラウドソーシングおすすめ4選から始めるのが堅実です。案件の選び方全般は安全な副業の探し方を、これまでの検証結果は副業案件の検証まとめをご覧ください。

開業届を出すべきか迷っている方は、副業の開業届は出すべき?出さない場合との違いを判断基準つきで整理もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q1. 副業の所得が20万円以下なら、本当に何もしなくていいのですか?

所得税の確定申告については、条件を満たせば不要です。ただし住民税には20万円ルールにあたる規定がないため、市区町村への申告が必要になるのが原則です。お住まいの自治体のサイトで「住民税 申告」を確認してください。

Q2. 20万円は振込額で判断するのですか?

いいえ、必要経費を差し引いた後の所得で判断します。売上が25万円でも経費が7万円なら所得は18万円です。逆に経費がほとんどかからない副業では、収入と所得がほぼ同じ額になります。

Q3. 副業が複数あります。20万円は合計で見るのですか?

給与所得・退職所得以外の所得を合計して判定します。フリマの利益・原稿料・ポイント関連の収入などを、それぞれ別々に20万円まで持てるわけではありません。

Q4. 報酬から源泉徴収されています。申告しなくていいのですか?

申告義務がなくても、確定申告をすることで納めすぎた税金が戻る場合があります。義務があるかどうかの話と、申告したほうが得かどうかの話は別だと考えてください。源泉徴収された額は、支払調書や支払明細で確認できます。

Q5. 株や投資信託の利益も20万円に含めますか?

使っている口座の種類によって扱いが変わります。特定口座(源泉徴収あり)の場合の考え方は株の税金入門|特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告は不要?で整理していますので、ご自身の口座設定を確認したうえで判断してください。

Q6. 申告を忘れていたことに気づきました。どうすればいいですか?

期限を過ぎていても申告はできます。放置している期間が長いほど加算される税額が増える仕組みになっているため、気づいた時点で税務署に相談するのが、結果的にいちばん軽く済みます。

免責と、困ったときの相談先

この記事は、副業を始めた会社員が全体像をつかむための一般的な整理です。税額の計算や所得区分の判定は、収入の種類・金額・家族構成・ほかの所得などによって結論が変わります。個別の判断は、国税庁のサイト・お住まいの地域の税務署・税理士など、権限と責任のある窓口で確認してください。当サイトは税務相談を行うものではありません。

また、副業の勧誘や契約でトラブルに巻き込まれた場合は、次の窓口に相談できます。ひとりで抱え込まないでください。

窓口 連絡先 相談できること
消費者ホットライン 188(いやや) 契約・解約・返金など消費生活全般
警察相談専用電話 #9110 詐欺の疑いなど、事件性がある相談
法テラス 0570-078374 法的トラブルの相談窓口の案内、費用の立替制度
日本弁護士連合会 各地の弁護士会 弁護士への相談・紹介
金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811 投資・金融商品に関する相談、登録業者の確認

山崎から一言

税金の手続きは、稼げるようになった人だけの話ではありません。むしろ、まだ数万円しか稼げていない段階で「記録を残す習慣」を作れた人のほうが、後で伸びたときに困りません。20万円という数字は覚えやすいので独り歩きしがちですが、大事なのは金額そのものではなく、自分の収入と経費を自分で説明できる状態にしておくことです。

山崎正義が300万円の借金を負ったときも、最初につまずいたのは「自分がいくら払って、いくら戻ってきたのかを説明できなかった」ことでした。記録は、税金のためだけでなく、あなた自身を守るために残すものです。

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