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「ETFと投資信託は何が違うのですか。どちらを選べばいいですか」という質問を、山崎正義はよくいただきます。結論から書きます。両者は中身(何に投資しているか)で分かれているのではなく、買い方と価格の決まり方で分かれています。ETFは証券取引所に上場していて、株式と同じようにその場の価格で売買します。投資信託(非上場のもの)は、1日1回だけ計算される基準価額で申し込みます。この一点から、コストのかかり方も、積立のしやすさも、枝分かれしていきます。
山崎正義は副業詐欺で300万円の借金を負った経験があり、その頃は商品の名前だけを見て「どちらが得か」を探していました。いま振り返ると、先に知るべきだったのはその商品をどうやって買い、どうやって売るのかという手続きの部分でした。この記事では、ETFと投資信託の違いを5つの軸で整理し、最後に自分で選べるチェック表を置きます。
結論:違いは「取引所で売買するかどうか」に集約される
言葉が似ているので混乱しやすいのですが、実はETFも投資信託の一種です。ETFは Exchange Traded Fund の略で、日本語では上場投資信託と訳します。つまり「上場している投資信託」がETF、「上場していない投資信託」が一般に投資信託と呼ばれているものです。
- ETF=証券取引所に上場している。取引時間中はリアルタイムに価格が動き、株式と同じ画面から売買する
- 投資信託=上場していない。販売会社(証券会社・銀行など)を通じて申し込み、1日1回計算される基準価額で約定する
中身については、どちらも「複数の銘柄を詰め合わせた箱」である点は同じです。同じ株価指数に連動する商品が、ETFの形でも投資信託の形でも売られている、ということが普通に起きます。選ぶときに比べるのは中身ではなく、買い方・コスト・分配金の扱いの3点です。指数に連動する商品そのものの考え方はインデックス投資と個別株投資の違い|初心者はどちらから始めるかの考え方で整理しています。
5つの軸で比較する
| 比べる軸 | ETF(上場投資信託) | 投資信託(非上場) |
|---|---|---|
| 買う場所 | 証券取引所(証券会社の株式取引画面) | 販売会社(証券会社・銀行など) |
| 価格 | 取引時間中に変動する市場価格 | 1日1回計算される基準価額 |
| 注文の出し方 | 成行・指値が使える | 金額または口数を指定して申し込む(価格の指定はできない) |
| 主なコスト | 売買手数料+信託報酬+売買時の値幅(スプレッド) | 購入時手数料(無料の商品もある)+信託報酬 |
| 分配金 | 受け取る形が基本(自動で再投資される仕組みはない) | 再投資型・受取型を選べる商品が多い |
表の3行目が、初めて触る人がいちばん戸惑うところです。ETFは株式と同じ注文の出し方をするため、成行と指値の区別を知らないまま発注すると、想定と違う価格で約定することがあります。使い分けは株の注文方法の基本|成行注文と指値注文の使い分けにまとめてあります。
価格の決まり方:基準価額と市場価格はズレることがある
投資信託の基準価額は、その日の終値をもとに1日1回計算されます。申し込んだ時点では、いくらで買えるかは確定していません(これをブラインド方式と呼びます)。「今日の安い値段で買う」という買い方は、投資信託ではできないということです。
一方ETFは、取引所でその瞬間の需給によって価格が決まります。ここで知っておきたいのが、ETFの市場価格は、その中身の価値(1口あたり純資産価値)と必ずしも一致しないという点です。買いたい人が多ければ中身の価値より高く(プレミアム)、少なければ低く(ディスカウント)なることがあります。差は通常わずかですが、相場が荒れているときや、取引が少ない銘柄では広がることがあります。
取引が少ない銘柄では、買い注文と売り注文の価格差(スプレッド)も広がります。ETFを見るときに出来高を確認する理由がここにあります。出来高の見方は株価チャートの基本の読み方|ローソク足と出来高で解説しています。
コスト:見る場所が2つある
コストの比較は「どちらが安いか」ではなく、どこにコストがかかるかで考えると整理できます。
| 費用の種類 | かかるタイミング | ETF | 投資信託 |
|---|---|---|---|
| 購入時の手数料 | 買うたび | 株式の売買手数料が原則かかる | 商品により有料・無料が分かれる |
| 信託報酬 | 保有している間ずっと | 低めに設定される傾向がある | 商品ごとの差が大きい |
| 売買時の値幅 | 売買のたび | スプレッドとして実質的に負担する | 基準価額で約定するため発生しない |
| 信託財産留保額 | 解約時 | — | 設定されている商品がある |
ここから読み取れるのは、売買の回数が多いほどETFのコストは効いてきて、長く持つほど信託報酬の差が効いてくるということです。「ETFのほうが安い」と一括りに言われることがありますが、それは信託報酬だけを見た話で、少額を毎月買い足す使い方では売買のたびの費用が積み上がります。手数料の比べ方そのものは米国株取引の基本|取引時間・為替・手数料の仕組みでも触れています(海外ETFの場合は、これに為替の影響が加わります)。
分配金の扱い:自動で再投資されるかどうか
意外と見落とされるのがここです。ETFは分配金が出たら現金で受け取るのが基本で、自動的に買い増してくれる仕組みはありません。再投資したければ、受け取った分配金で自分がもう一度買い注文を出す必要があります。分配金が出るたびに課税され、そのうえ手数料を払って買い直すことになります。
投資信託には、分配金を自動的に再投資に回す「再投資型(累積投資)」を選べる商品が多くあります。ほったらかしで積み上げたい人にとっては、この差は小さくありません。逆に、定期的に現金を受け取りたい人にはETFの形が合うこともあります。どちらが優れているかではなく、受け取ったお金を自分がどうしたいかで決まるということです。分配金と配当の税金の考え方は株の税金入門|特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告は不要?を土台にしてください。
NISAの枠との関係と、積立のしやすさ
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、枠ごとに買える商品の範囲が違います。つみたて投資枠は長期の積立・分散に適すると位置づけられた一定の商品が対象で、対象商品は圧倒的に非上場の投資信託が中心です。ETFを非課税枠で買う場合は、原則として成長投資枠を使う形になります。
また、投資信託は「毎月1日に1万円」といった金額指定の積立設定が標準的に用意されています。ETFは株式と同じ売買のため、金額をぴったり指定して自動で買い続ける設定は、証券会社によって対応が分かれます。ほったらかしで積み上げる用途では、投資信託のほうが手続きが少なく済むことが多いのが実際のところです。枠の使い分けは新NISAの基本|つみたて投資枠と成長投資枠の違い、口座の種類は証券口座の選び方入門|特定口座・一般口座・NISA口座の違いで整理しています。
どちらを選ぶかの判断材料(セルフチェック)
優劣ではなく、自分の使い方に当てはめて考えるための表です。
| あなたの状況 | 相性がよい形 | 理由 |
|---|---|---|
| 毎月決まった額を自動で積み立てたい | 投資信託 | 金額指定の積立設定と再投資型が用意されている |
| 取引時間中に自分のタイミングで売買したい | ETF | 成行・指値で価格を指定できる |
| 分配金を現金で受け取りたい | ETF | 受け取る形が基本 |
| 売買画面を見る時間をなるべく減らしたい | 投資信託 | 約定価格を選ぶ判断が発生しない |
| 保有期間が長く、信託報酬の差を重く見る | どちらも可(商品ごとに比較) | 形ではなく個別商品の水準で決まる |
最後の行が要点です。「ETFだから安い」「投資信託だから高い」という決め方は、実際の商品を見ていないということになります。比べるのは形ではなく、目論見書に書かれた個別の条件です。
注意:ETFの名前を使った勧誘もある
山崎正義のもとには、「海外ETFの特別なファンドに参加すれば毎月分配が入る」とSNSのDMで持ちかけられた、という相談が届いています。ETFも投資信託も、取扱いは金融商品取引業の登録を受けた業者が行い、商品の情報は公開されています。個人のDMで「特別枠」「今だけ」と持ちかけられ、送金先が個人名義だったり暗号資産での入金を求められたりする時点で、それは制度の中の商品の話ではありません。
山崎正義が300万円を失ったときも、入口は「一般には出回らない話」という言葉でした。典型的な手口は投資詐欺の典型手口と見分け方|「絶対儲かる株情報」が届いたときの確認手順に整理してあります。相手の登録の有無を自分で確認する手順は金融庁の登録を自分で確認する手順と同じやり方が使えます。
山崎の見解:先に決めるのは「商品」ではなく「続け方」
山崎正義の見方を書きます。この2つで迷っている段階なら、先に決めるべきは商品の形ではなく、自分がどう続けるかです。毎月決まった額を放っておきたいのか、自分のタイミングで売買したいのか。ここが決まれば、選択肢は自然に片方へ寄ります。逆にここが決まらないまま「安いほう」を探すと、買ったあとに操作が面倒になって放置し、結局何も分からないまま数年が過ぎます。山崎正義が最初にやったのが、まさにそれでした。
なお、どちらを選ぶ場合でも証券口座は必要です。国内では複数のネット証券が取扱いを行っており、たとえばDMM.com証券が提供する「DMM 株」もそのひとつです。取扱商品の範囲・手数料・積立設定への対応は会社ごとに違うため、比べるときは1社の説明だけでなく、複数社の同じ項目を並べて見てください。口座を開くこと自体は投資を始める義務にはなりません。
ここまでの流れを最初から通しで確認したい方は、株式投資の始め方ロードマップ|口座開設から税金・詐欺対策まで5ステップを先に読んでおくと、この記事の位置づけが分かりやすくなります。
よくある質問
Q. ETFと投資信託は、どちらのほうが値動きが激しいのですか?
A. 形の違いによる差ではありません。値動きの大きさは、その商品が何に連動しているか(国内株か、新興国株か、債券かなど)で決まります。同じ指数に連動するETFと投資信託であれば、値動きの中身はほぼ同じです。
Q. ETFは1株から買えますか?
A. ETFにも売買単位があり、多くは1口単位ですが銘柄によって異なります。1口あたりの価格も商品ごとに幅があるため、少額から始めたい場合は、その銘柄の売買単位と価格を注文画面で確認してください。
Q. 同じ指数なら、信託報酬が低いほうを選べばよいですか?
A. 信託報酬は比べる項目のひとつですが、それだけでは決まりません。純資産総額(規模が小さいと繰上償還の可能性がある)、ETFなら出来高とスプレッド、投資信託なら購入時手数料や信託財産留保額も見る場所です。1つの数字だけで比較しないでください。
Q. ETFと投資信託を両方持ってもいいのでしょうか。
A. 制度上の問題はありません。ただし同じ指数に連動する商品を複数持つと、分散したつもりで中身が重なっていることがあります。持っている商品が何に連動しているかを一覧にするところから始めてください。
Q. 「毎月分配型」は効率がよいと聞きましたが本当ですか?
A. 分配金は運用で得た収益から出るとは限らず、元本部分から払い出される場合があります(特別分配金)。受け取っている分だけ資産が減っていることもあるため、分配金の額の大きさを商品の良し悪しの基準にしないでください。目論見書と運用報告書で、分配の原資を確認してください。
困ったときの相談先
| 相談先 | 連絡先 | 扱う内容 |
|---|---|---|
| 消費者ホットライン | 188 | 契約トラブル全般 |
| 警察相談専用電話 | #9110 | 詐欺被害の相談 |
| 法テラス | 0570-078374 | 法的トラブルの相談窓口の案内 |
| 日本弁護士連合会 | 各地の弁護士会 | 弁護士への相談 |
| 金融庁 金融サービス利用者相談室 | 0570-016811 | 無登録業者・金融商品の勧誘に関する相談 |
山崎から一言
ETFと投資信託の比較記事はたくさんありますが、多くは「どちらが得か」という形で書かれています。山崎正義は、そこが入口としてはずれていると思っています。得かどうかは、買ったあとに自分がどう振る舞うかで決まるからです。毎月自動で積み上げる人と、相場を見て売買する人とでは、同じ商品でも結果の出方が変わります。商品を選ぶ前に、自分の続け方を決める。300万円を失った側の人間として、そこだけは先に言っておきたいところです。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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