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こんにちは、YAMAZAKI JOB MEDIA編集長の山崎正義です。副業詐欺で300万円の借金を背負い、そこから地道な副業で立て直す過程で、130件以上の副業案件を調べてきました。民泊は、自宅の空き部屋や使っていない家に、宿泊料を受け取って人を泊める仕組みです。「空いている部屋があるから副業に」と考える会社員の方が多い一方で、始める前の手続きと確認がいちばん多い副業の1つでもあります。
この記事では、「副業で少し泊めるだけでも届出は必要なのか」「年に何日まで泊められるのか」「賃貸やマンションでもできるのか」の3点に答えます。根拠にしたのは、住宅宿泊事業法と、観光庁の民泊制度ポータルサイト、国税庁が公表している課税関係の情報です。
結論|副業でも届出が必要。泊められるのは年180日まで
| 項目 | 答え |
|---|---|
| どんな仕事? | 住宅に人を泊めて、宿泊者から宿泊料を受け取る。予約の受付・鍵の受け渡し・清掃・苦情への対応までが仕事に入る |
| どのくらい稼げる? | 宿泊料は自分で決めるもので、個人の収入についての公的な統計はない。1泊の宿泊料からいくら残るかを確かめる計算は本文で示す |
| 始めるのに必要なもの | 住宅宿泊事業法の届出(都道府県知事など)。届出の前に、消防署への相談、賃貸なら貸主の承諾、マンションなら管理規約の確認が要る |
| 気をつける点 | 届出も旅館業の許可もなく泊めると、旅館業法の無許可営業として罰則の対象になる。届出をしても、泊められるのは年180日まで |
宿泊料を受け取って人を泊める営業は、もともと旅館業法の許可が必要な仕事です。2018年6月に施行された住宅宿泊事業法は、届出をすれば、許可がなくても年180日までは住宅に人を泊められるという仕組みを作りました。本業か副業か、月に何組かは、届出が要るかどうかの基準になっていません。
会社員の方が先に確かめるのは、次の4つです。どれか1つでも通らなければ、その住宅では始められません。
- その住宅で民泊をしてよいか(賃貸の契約・マンションの管理規約)
- 住んでいる自治体の条例で、区域や期間が制限されていないか
- 泊めているあいだ自分が家にいられるか(いられないなら、管理業者への委託が必要になる)
- 勤務先の就業規則で、副業がどう扱われているか
どんな仕事?|民泊の3つの制度と、家主がいる型・いない型
「民泊」と呼ばれているものには、法律の上で3つの形があります。副業で考える方が多いのは、いちばん手続きの軽い住宅宿泊事業法の届出です。
| 制度 | 手続き | 泊められる日数 | できる場所 |
|---|---|---|---|
| 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 届出 | 年180日まで | 住宅。条例で区域・期間を制限している自治体がある |
| 旅館業法(簡易宿所など) | 許可 | 上限なし | 用途地域などの制限がある |
| 国家戦略特区の民泊(特区民泊) | 認定 | 上限なし(最低の宿泊日数の決まりがある) | 特区に指定され、条例を定めた自治体だけ |
住宅宿泊事業法の届出ができるのは「住宅」です。台所・浴室・便所・洗面設備があり、いま人が生活している家、入居者を募集している家、別荘のように所有者などがときどき住んでいる家のどれかに当たる必要があります。民泊のためだけに用意した、だれも住まない新築の部屋は対象になりません。
もう1つ、仕事の中身を大きく分けるのが、泊めているあいだ家主が家にいるかどうかです。
| 型 | どんな形か | 管理の仕事 |
|---|---|---|
| 家主居住型 | 自分が住んでいる家の空き部屋に泊める。宿泊者がいるあいだ、自分も家にいる | 自分で行う(衛生の確保・騒音などの説明・苦情への対応・宿泊者名簿・標識の掲示) |
| 家主不在型 | 宿泊者がいるあいだ自分は家にいない。使っていない家や別荘を貸す形も含む | 国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者に委託する義務がある(標識の掲示は自分で行う) |
観光庁の案内では、家主不在型は、管理の仕事を住宅宿泊管理業者に委託しなければならないとされています。泊める部屋の数が5を超える場合も同じです。平日の日中に会社へ行っているあいだ宿泊者が家にいる、という形は「不在」に当たる可能性が高いので、自分の働き方でどちらの型になるかを、届出先の窓口で確かめてください。委託しなければならないのに委託しなかった場合は、50万円以下の罰金の対象です(住宅宿泊事業法75条)。
どのくらい稼げる?|1泊の宿泊料からいくら残るか
民泊の宿泊料は、家主が自分で決めます。個人の家主がいくら受け取っているかという公的な統計はないので、この記事では収入の金額を載せていません。代わりに、1泊の宿泊料から手元にいくら残り、それが時間あたりいくらになるかを確かめる式を示します。
計算の式
1予約で残る額 = 宿泊料 − 仲介サイトの手数料 − 清掃・リネン・消耗品の費用 − 水道光熱費 −(委託する場合は)管理業者への委託料
1時間あたり = 1予約で残る額 ÷(予約のやり取り + 鍵の受け渡し + 清掃 + 名簿の記録 にかかった時間)
計算例(数字はすべて説明のための仮のものです。実際の相場ではありません)
1泊8,000円、仲介サイトの手数料3%(240円)、消耗品と洗濯500円、水道光熱費300円、自分で清掃する場合
残る額 = 8,000円 − 240円 − 500円 − 300円 = 6,960円
やり取り30分・受け渡し30分・清掃90分・記録10分(合計160分)なら、6,960円 ÷ 160分 × 60分 = 約2,610円
この式に入っていないお金と、見落としやすい上限があります。
- 年180日の上限:予約がすべて埋まっても、泊められるのは1年の半分弱です。条例でさらに短くしている自治体では、その日数が上限になります
- 始める前にかかる費用:消防用設備(自動火災報知設備・誘導灯など。建物の形と泊める部屋の広さで変わる)、寝具、鍵、標識の用意
- 予約が入らない日:予約が無い日は収入がありません。計算例は「1予約あたり」の数字で、月の収入を示すものではありません
- 保険:住宅用の火災保険が、人を有料で泊めているあいだの事故まで補償するとは限りません。始める前に保険会社へ確かめます
家主不在型で管理を委託する場合は、委託料が毎回かかります。委託料を引いたあとに残る額で計算し直してください。「何もしなくても毎月◯万円入る」という説明は、この引き算を省いています。
始め方|確認から最初の宿泊まで
| 順番 | やること | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 1 | 勤務先の就業規則を読む | 副業が禁止・許可制・届出制のどれか |
| 2 | 住宅の決まりを確かめる | 賃貸なら、貸主が民泊のための転貸を承諾しているか。分譲マンションなら、管理規約で禁止されていないか |
| 3 | 自治体の条例を調べる | 住宅のある区域で、民泊ができない期間や曜日が決められていないか |
| 4 | 消防署に相談する | 必要な消防用設備と、消防法令適合通知書の受け取り方 |
| 5 | 届出をする | 住宅の所在地を受け持つ都道府県知事など(保健所を置く市や特別区では、その長)へ。原則として民泊制度運営システムを使う |
| 6 | 標識を掲示し、仲介サイトに掲載する | 届出番号を受け取ってから掲載する。届出の前に予約を受けない |
| 7 | 泊めて、記録して、報告する | 宿泊者名簿を作る。2か月ごとに、泊めた日数などを届出先へ報告する |
賃貸の家は、貸主の承諾が先
観光庁の案内では、住宅を借りている人が届出をする場合、貸主が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾しているかを事前に確かめることになっています。また貸しで借りている場合は、もとの貸主と、自分に貸している人の両方の承諾が必要です。貸主が親族でも同じです。賃貸の契約書の多くは、無断での転貸を禁じています。承諾を取らずに泊めると、届出ができないだけでなく、契約を解除される理由になりえます。
分譲マンションは、管理規約と管理組合の方針を見る
分譲マンションでは、管理規約で住宅宿泊事業が禁止されていないことを確かめます。規約に定めがなくても、管理組合が総会や理事会で「禁止する」と決めていれば届出はできません。国土交通省は、民泊を認めるか禁じるかを規約に書くためのひな型(マンション標準管理規約)を示していて、禁止を明記したマンションは少なくありません。
条例の制限は自治体ごとに違い、見直しが続いている
住宅宿泊事業法は、生活環境の悪化を防ぐために、自治体が条例で区域と期間を決めて民泊を制限することを認めています。住居専用地域では週末だけ、学校の周りでは学期中は不可、といった定め方です。2026年に入ってからも、制限を強める方向で条例を見直す自治体が出ています。インターネットの古い記事ではなく、住宅のある自治体の公式ページで、いまの決まりを確かめてください。

手順の2と3は、お金を1円も使わずに確かめられます。寝具や設備を買うのは、ここを通ってからにしてください。順番を逆にすると、買ったあとで「この部屋ではできない」と分かります。
気をつける点|届出のあとに続く義務と、180日の数え方
1. 180日は「4月1日の正午から1年間」で数える
観光庁の案内では、年180日の上限は、毎年4月1日の正午から翌年4月1日の正午までの1年間で数えます。1日は、正午から翌日の正午までです。日数は届出をした住宅ごとに数えるので、仲介サイトを2つ使っていても、合計で180日までです。
2. 2か月ごとの定期報告
届出をした家主は、泊めた日数・宿泊者の数などを、偶数の月の15日までに、前の2か月分について届出先へ報告します。泊めた人がいなかった期間も、報告は必要です。報告をしない、うその報告をする、という場合は30万円以下の罰金の対象です(住宅宿泊事業法76条)。
3. 宿泊者名簿・標識・苦情への対応
宿泊者の氏名・住所・職業・泊まった日を名簿に残し、外国から来た方は国籍と旅券番号も記録します。玄関など外から見える場所には、決められた様式の標識を掲示します。騒音・ごみ・火の扱いについて宿泊者に説明し、近所から苦情が来たら対応するのも、家主の義務です。苦情は深夜にも来ます。翌日に本業がある会社員にとっては、ここがいちばん重い負担です。
4. 届出をしない・うその届出をする場合の罰則
届出も許可もなく宿泊料を受け取って泊めると、旅館業法の無許可営業に当たります。厚生労働省の資料では、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方とされています。うその内容で届出をした場合も、住宅宿泊事業法73条に同じ重さの罰則があります。「知人に少し貸しただけ」のつもりでも、広く募集して、繰り返し、宿泊料を受け取っていれば営業です。
こんな募集には応募しない
民泊は「持っている部屋が収入になる」という分かりやすさがあり、それを使った勧誘があります。次のどれかに当てはまったら、申し込みを止めてください。
- 「運営はすべて代行するので、物件を借りるだけで毎月◯万円」と説明する:泊められるのは年180日までです。家賃・委託料・清掃費を引いた計算を、書面で出してもらえない話は進めません
- 「届出は要らない」「名義だけ貸してくれればいい」と言う:罰則の対象になるのは、届出をしなかった本人・うその届出をした本人です
- 貸主や管理組合に知らせずに始める方法を教える:契約の解除や、管理組合とのトラブルを負うのは自分です
- 民泊の運営ノウハウとして、高額の講座や初期費用を先に払わせる:届出の手順は、観光庁の民泊制度ポータルサイトと自治体の窓口で無料で確かめられます
- 委託先として紹介された会社が、住宅宿泊管理業者の登録を受けていない:管理業を営むには国土交通大臣の登録が必要です。登録番号を確かめます
お金を払う前に確かめる点は副業詐欺の見分け方7つに、初期費用のかからない仕事の探し方は安全な副業の探し方にまとめています。代行会社と契約を結ぶ前には、業務委託契約書のチェックリストで、費用と解約の条項を読んでください。
税金と会社への届出
国税庁は、住宅宿泊事業法の民泊で得た所得は、原則として雑所得に区分されるという考え方を公表しています(「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」)。宿泊料の収入から、仲介サイトの手数料・清掃費・消耗品費・水道光熱費のうち民泊に使った分などの経費を引いた額が所得です。自宅の一部を使う場合、水道光熱費や減価償却費は、民泊に使った面積と日数の割合で分けて計算します。
給与を1か所から受け取っている会社員の方は、給与以外の所得が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。20万円以下でも、住民税の申告は別に必要です。住宅ローン控除を受けている家で民泊をする場合は、控除に影響することがあるので、始める前に税務署へ確かめてください。
20万円の数え方は副業の確定申告と20万円ルールに、勤務先への伝わり方は住民税を普通徴収にしても副業が会社に伝わる5つのケースに、就業規則の読み方は就業規則の副業禁止・許可制を確かめる記事に書いています。
宿泊させずに自宅の一室を時間貸しする場合は、民泊とは確認する点が変わります。「自宅をレンタルスペースとして貸す副業」もあわせて確認してください。
宿泊ではなく物置として場所を貸す副業との違いは、レンタルコンテナのオーナーは副業になる?利回りの見方と空室・用途地域のリスクで空室リスクとあわせて整理しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 年に数回、週末だけ泊めるつもりです。それでも届出は必要ですか?
必要です。回数の少なさで届出が要らなくなる決まりはありません。宿泊料を受け取って、広く募集して人を泊めるなら、住宅宿泊事業法の届出か、旅館業法の許可のどちらかが要ります。
Q2. 180日を超えて泊めたいときは、どうすればよいですか?
住宅宿泊事業法の届出では、180日を超えて泊めることはできません。超えて営業するなら、旅館業法の許可(簡易宿所など)を取るか、特区民泊の認定を受ける必要があります。どちらも、できる場所と設備の条件が届出より厳しくなります。
Q3. 賃貸のワンルームに住んでいます。出張のあいだだけ貸してもよいですか?
貸主が民泊のための転貸を承諾していなければ、届出ができません。さらに、自分が出張で家にいないあいだに泊めるのは家主不在型に当たり、住宅宿泊管理業者への委託が必要になります。賃貸のワンルームで副業として成り立たせるのは、手続きの面でも費用の面でも難しい形です。
Q4. 届出に手数料はかかりますか?
観光庁の届出の案内には、届出そのものの手数料についての記載はありません。ただし、消防用設備の設置、図面や証明書類の取り寄せには費用がかかります。必要な書類と費用は自治体によって違うので、届出先の窓口で確かめてください。
Q5. 会社に知られずに始められますか?
確実に知られない方法はありません。届出をした住宅には標識を掲示しますし、所得が増えれば住民税の額にも表れます。就業規則で許可や届出が求められているなら、先に手続きをしてから始めるのが、あとで困らない順番です。
まとめ|設備を買う前に、契約・規約・条例の3つを確かめる
- 宿泊料を受け取って人を泊めるには、副業でも、住宅宿泊事業法の届出か旅館業法の許可が要る
- 届出で泊められるのは年180日まで。4月1日の正午から1年間で、住宅ごとに数える
- 賃貸は貸主の承諾、分譲マンションは管理規約と管理組合の方針、そして自治体の条例。この3つを通らない住宅では始められない
- 宿泊者がいるあいだ家にいられないなら、登録を受けた管理業者への委託が必要になり、委託料がかかる
- 届出のあとも、2か月ごとの報告・宿泊者名簿・標識・苦情への対応が続く
- 所得は原則として雑所得。経費を引いた額が年20万円を超えたら確定申告をする
次に読むなら、同じように「始める前の登録」が分かれ目になるペットシッターと動物取扱業の登録の記事がおすすめです。講座や代行に申し込む前に、行政の窓口で確かめるという順番が、そのまま当てはまります。
※本記事は、2026年10月時点で公開されている住宅宿泊事業法、観光庁「民泊制度ポータルサイト」、厚生労働省の旅館業法に関する資料、国税庁「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」をもとに、一般的な内容を整理したものです。条例による区域・期間の制限、必要な消防用設備、届出の添付書類は、自治体と建物によって異なり、見直されることがあります。計算例の数字は説明のための仮のもので、実際の宿泊料や収入を示すものではありません。最終的な判断は、住宅の所在地を受け持つ自治体の窓口・消防署・税務署などにご確認ください。
山崎から一言



山崎が300万円を失ったときの入り口は、「持っているだけで収入になる」という言葉でした。民泊は実在する制度で、きちんと届出をして続けている方もいます。ただ、収入になるのは部屋ではなく、鍵の受け渡しと清掃と深夜の苦情の対応を続ける自分の時間です。貸主の承諾、管理規約、条例。この3つを確かめるのにお金はかかりません。そこを通ってから、計算の式に自分の数字を入れてみてください。










