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こんにちは、YAMAZAKI JOB MEDIA編集長の山崎正義です。副業詐欺で300万円の借金を背負い、そこから復活する過程で130件以上の案件を調査してきました。
「自分で描いたイラストをTシャツにして売ってみたい。でも在庫を抱えるのは怖い」という相談は、物販やハンドメイドに興味がある方からよく届きます。先に答えると、注文が入ってから1枚ずつ印刷して発送する「受注生産」のサービスを使えば、在庫ゼロ・初期費用ゼロで始められます。そのかわり、1枚あたりの取り分は自分で決めた額だけで、売れなければ収入もゼロです。そして一番の落とし穴は、お金ではなくデザインの権利にあります。
この記事では、受注生産サービスの代表例としてSUZURI(GMOペパボ)の公式ヘルプ(2026年10月17日に確認)をもとに、取り分の仕組み・振込のルール・時給に直す計算と、著作権・商標・肖像の「作ってはいけない線」を整理します。
結論:在庫なしで始められる。稼ぎを決めるのは「取り分×売れた枚数」と権利の確認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| どんな仕事? | 自分で作ったデザインを受注生産サービスに登録し、Tシャツなどのグッズが売れるたびに、販売価格のうち自分で上乗せした「取り分」を受け取る |
| どのくらい稼げる? | 公式の平均収入の統計はありません。取り分は1枚ごとに自分で設定する額で、売れた枚数との掛け算になります。時給に直す計算は本文で行います |
| 始めるのに必要なもの | デザインを作る道具(スマホのアプリでも可)、サービスへの登録、振込先の口座。在庫・印刷機・初期費用は不要 |
| 気をつける点 | キャラクター・ブランドロゴ・有名人・他人の作品を使ったデザインは権利侵害。売れた後でも販売停止・アカウント停止になりうる |
山崎正義が副業の相談を受けていて感じるのは、Tシャツ販売でつまずく人の多くが「売れない」より先に「作ってはいけないものを作っていた」で止まることです。お金の話の前に、権利の話を必ず読んでください。
どんな仕事?オリジナルTシャツ販売の3つの形
「オリジナルTシャツを売る」と一口に言っても、在庫の持ち方で大きく3つに分かれます。この記事で扱うのは、在庫を持たない①です。
| 形 | 仕組み | 在庫 | 初期費用 | 自分の作業 |
|---|---|---|---|---|
| ① 受注生産サービスに登録 | デザインを登録し、注文が入るとサービス側が印刷・発送する | 持たない | 不要 | デザインと宣伝 |
| ② 自分のネットショップ+受注生産 | BASEなどで自分の店を開き、印刷・発送は受注生産業者に任せる | 持たない | ほぼ不要(ショップの手数料がかかる) | デザイン・店の運営・問い合わせ対応 |
| ③ まとめて刷って在庫を持つ | 業者に数十枚単位で発注し、フリマやイベントで手売りする | 持つ | 必要(印刷代を先払い) | デザイン・在庫管理・梱包・発送 |
③は1枚あたりの利益を大きくしやすい反面、売れ残りがそのまま損になります。最初の1枚が売れるかどうか分からない段階では、①か②で反応を見てから考えるのが安全です。②でショップを開く場合の手数料は、スキル販売サイト比較(BASEの手数料と手取り)で計算しています。
どのくらい稼げる?受注生産サービスの取り分の仕組み
販売価格=原価+自分で決めた取り分
SUZURIの公式ヘルプでは、クリエイターの取り分を「トリブン」と呼び、次のように説明しています(2026年10月17日確認)。
| 項目 | 公式ヘルプの説明 |
|---|---|
| 販売価格の決まり方 | アイテムごとに表示される原価+自分で設定したトリブン |
| トリブンの設定幅 | 原価のまま(トリブンなし)から最大5,000円まで |
| 消費税 | トリブンは税込の金額。納税が必要かどうかは自分で税務署や税理士に確認 |
| 登録・販売の費用 | デザインの登録や販売に、出品者が先に払う費用はかからない |
つまり、取り分を高くすれば1枚あたりの収入は増えますが、そのぶん購入者が払う値段も上がります。原価はTシャツの種類やボディの色で変わるため、設定画面で必ず確認してください。
振込のルール(SUZURIの場合)
| 項目 | 公式ヘルプの説明(2026年10月17日確認) |
|---|---|
| 自分で申請した場合 | 「金にする」を押した月の翌月末に振込(月末が土日祝日なら前営業日) |
| 申請しなかった場合 | 売上の確定から5か月目を迎えて未振込のものは、翌月末に自動で振込 |
| 振込手数料 | 振込のたびに176円が差し引かれる。自動振込は未振込のトリブンが177円以上ある場合に限る |
| 振込の条件 | 振込先の口座と本人情報の登録が月末までに済んでいること |
振込手数料は1回ごとにかかるので、少額のうちにこまめに申請すると手数料の割合が大きくなります。また、キャンセルや未発送の注文は除いて確定するため、申請した時点の金額より振込額が減ることがある、とも公式ヘルプに書かれています。
時給に直して考える
ここからは仮の数字で計算します。売れる枚数は、デザイン・宣伝の仕方・時期で大きく変わり、ゼロのこともあります。
仮の条件:デザイン1点の制作と登録・説明文づくりに合計4時間/トリブン800円/1か月で5枚売れた/振込を1回申請
収入=800円×5枚−振込手数料176円=3,824円
時給=3,824円÷4時間=約956円
| 1か月に売れた枚数(仮) | 手取り(振込1回) | 4時間で割った時給 |
|---|---|---|
| 0枚 | 0円 | 0円 |
| 1枚 | 624円 | 約156円 |
| 5枚 | 3,824円 | 約956円 |
| 20枚 | 15,824円 | 約3,956円 |
このように、受注生産のTシャツ販売は「作業した時間に対してお金が出る仕事」ではなく、作ったデザインが売れた分だけ後から入る仕事です。1点で大きく売れることもあれば、何点作っても売れないこともあります。LINEスタンプの売上の計算と同じく、「何枚売れたら時給がいくらになるか」を先に計算しておくと、期待しすぎずに続けられます。
始め方:登録から最初の振込までの手順
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 受注生産サービスにアカウントを登録する | 利用規約と禁止事項のページを最初に読む |
| 2 | デザインを作る | 自分で一から作ったもの、または商用利用が許された素材・フォントだけを使う |
| 3 | デザインをアップロードし、アイテムと色を選ぶ | Tシャツの色で印刷の見え方が変わる。プレビューで確認する |
| 4 | アイテム名・説明文・取り分を決めて販売を始める | タイトルや説明文も審査の対象。他社名やキャラクター名を入れない |
| 5 | SNSなどで紹介する | 登録しただけでは見つけてもらいにくい |
| 6 | 振込先の口座と本人情報を登録し、振込を申請する | 手数料が引かれるので、ある程度まとまってから申請する |
気をつける点:作ってはいけないデザインの線引き
受注生産のTシャツは、注文が入れば自分の名前で第三者に販売される商品です。SUZURIの公式ヘルプも、サービスは販売を委託されている立場で、販売の主体はクリエイターであり、権利侵害で問い合わせや請求を受けたときはクリエイターの責任で対応する、と明記しています。「サービスが審査してくれるから大丈夫」ではありません。
SUZURIが「権利侵害」として禁止しているもの
SUZURIの公式ヘルプ「権利侵害についておしえてください」(2026年10月17日確認)では、次のようなデザインをすべて権利侵害として製作を禁止しています。
- アイドルや有名人の写真・イラストを使った応援グッズ
- アニメやゲームのキャラクターを使ったデザイン
- 企業・ブランドのロゴやエンブレムの二次創作
- 特定のメーカーの車や実在する商品をモチーフにしたデザイン
- 作者に許可をもらっていないイラスト・写真、トレース・模写・二次創作
- 亡くなって50年以内の著名人の写真やイラスト(SUZURI独自の判断基準)
アイテムの画像だけでなく、サムネイル・タイトル・説明文も含めて商品として判断され、違反が見つかれば販売禁止やアカウント停止、その商品の注文はキャンセルになる、とされています。
法律ではどうなっているか
| 権利 | Tシャツでよくある例 | 法律の考え方 |
|---|---|---|
| 著作権 | アニメのキャラクター、他人のイラスト・写真、歌詞の一部を印刷する | 著作物を無断で複製して販売すると著作権(著作権法21条の複製権など)の侵害になりうる。保護期間は原則として著作者の死後70年(同法51条)。侵害は刑事罰の対象にもなる(同法119条) |
| 商標権 | 有名ブランドのロゴやその「もじり」、スポーツチームの名前 | 登録商標と同じか似た標章を、登録された商品(被服など)に付けて売ると商標権の侵害になりうる(商標法25条・37条)。侵害は刑事罰の対象にもなる(同法78条) |
| 肖像権・パブリシティ権 | 芸能人やスポーツ選手の写真・似顔絵 | 有名人の氏名や肖像が持つ集客力を無断で商品に使う行為は、パブリシティ権の侵害として違法になりうる(最高裁平成24年2月2日判決) |
「少し変えたから大丈夫」「パロディだから大丈夫」は通りません。ロゴをもじったデザインは、元のブランドを連想させること自体が問題になりえます。気になる言葉やマークを使いたいときは、特許庁の商標データベース(J-PlatPat)で、被服の分野に登録されていないかを確認してください。
フォント・素材・AI画像も確認が要る
- フォント:無料フォントでも「商用利用不可」「グッズへの使用は別ライセンス」とされているものがある。配布元の利用規約を確認する
- 素材サイトのイラスト・写真:「Tシャツなどの商品への使用(グッズ化)」を禁止している素材サイトが多い。商用利用可でも、グッズへの使用は別扱いのことがある
- AIで作った画像:文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)では、生成物が既存の作品と似ていて、その作品をもとにしたと認められれば、人が描いた場合と同じく著作権侵害になりうると整理されている。キャラクター名や作家名を入れて作った画像は使わない
こんな募集には応募しない
Tシャツやグッズ販売は「在庫なし・リスクなし」という言葉と相性がよく、高額な講座やツールの入口に使われることがあります。山崎正義の調査経験から、次のような募集は避けてください。
| 募集の特徴 | なぜ避けるか |
|---|---|
| 「デザイン不要・放置で月◯万円」とうたう講座 | 受注生産サービスは無料で使える。売れるかどうかはデザインと宣伝次第で、収入を約束できる仕組みではない |
| 「売れるデザイン」のテンプレートや画像を高額で売る | 同じ素材を大勢が使うため売れにくい。元の素材の権利がはっきりしないことも多い |
| 流行りのキャラクターや人気ブランドに似せたデザインをすすめる | 権利侵害で販売停止・アカウント停止になるのは出品者本人 |
| 説明会のあとで数十万円の契約を急がせる | 契約を急がせる勧誘は、副業の勧誘トラブルでよく見られる型 |
勧誘の見分け方は安全な副業の探し方に、実際に調べた案件は副業の検証まとめにまとめています。
税金と会社への届出
Tシャツの取り分も副業の収入です。会社員の場合、給与以外の所得(収入から経費を引いた額)が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされていますが、住民税の申告は別に必要です。20万円の数え方は副業を掛け持ちしたときの20万円の判定で詳しく説明しています。
- SUZURIの公式ヘルプによると、トリブンは報酬ではないため支払調書は発行されない。年間の売上やトリブンは「売上」ページの画面やCSVで確認できる
- デザインのためのソフト代やサンプルの購入代は、記録を残しておく
- 就業規則で副業の届出が必要とされている会社もある。始める前に確認する
よくある質問
Q1. 絵が描けなくても始められますか?
文字だけのデザインや、自分で撮った写真を使ったデザインでも始められます。ただし、使うフォントや写真の写り込み(他人の顔、ブランドのロゴ)には注意してください。
Q2. 売れなかったら費用はかかりますか?
受注生産サービスでは、注文が入ってから印刷するため、売れなかった分の在庫代はかかりません。SUZURIでは登録や販売に出品者が先に払う費用はかからないとされています。サービスごとに条件は違うので、利用規約で確認してください。
Q3. 好きなアニメのファンアートなら、少しだけなら売ってもいいですか?
受注生産サービスでの販売は第三者への販売・商用利用にあたるため、SUZURIでは二次創作をすべて権利侵害として禁止しています。権利者が個別にガイドラインで認めている場合でも、販売の可否や条件は作品ごとに違います。
Q4. 同じデザインを複数のサービスで売ってもいいですか?
自分で作ったデザインなら、各サービスの規約が認める範囲で複数の場所に出せる場合が多いです。独占販売を条件にしているサービスや企画もあるので、登録前に確認してください。
Q5. 取り分はいくらに設定するのがいいですか?
決まった正解はありません。原価に取り分を足した販売価格が、似たTシャツの相場から大きく外れていないかを見て決めます。最初は控えめにして反応を見る人もいます。
まとめ
- 受注生産サービスなら、在庫ゼロ・初期費用ゼロでオリジナルTシャツを売れる
- SUZURIでは販売価格=原価+自分で決めた取り分(最大5,000円)。振込のたびに手数料176円が引かれる
- 作業時間ではなく「売れた枚数」で収入が決まる。時給は売れた枚数で大きく変わる
- キャラクター・ブランドロゴ・有名人・他人の作品を使ったデザインは作らない。責任を負うのは販売主体の自分
次に読むなら、作ったものを売る副業の値段の考え方としてハンドメイド作品の値段の付け方と手取りの計算をどうぞ。
※本記事のSUZURIの取り分・振込・禁止事項に関する内容は、2026年10月17日時点で同サービスの公式ヘルプに表示されていた内容をもとにしています。計算例の数字は仮のもので、収入を保証するものではありません。法律の説明は一般的な整理であり、個別の判断は弁護士などの専門家にご相談ください。
相談先まとめ
- ① 消費者ホットライン(188):グッズ販売の講座・ツール契約の勧誘で困ったとき
- ② 警察相談専用電話(#9110):脅迫的な勧誘や詐欺が疑われるとき
- ③ 法テラス:契約の解除や権利侵害の請求について法的な相談をしたいとき
- ④ 日本弁護士連合会:弁護士を探したいとき
山崎から一言

Tシャツ販売は、在庫を持たずに「自分のデザインが売れるか」を試せる珍しい副業です。だからこそ、最初の1枚は自分で一から作ったものにしてください。権利の不安がないデザインが、長く続けられる一番の土台です。










