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こんにちは、YAMAZAKI JOB MEDIA編集長の山崎正義です。副業詐欺で300万円の借金を背負い、そこから復活する過程で130件以上の案件を調査してきました。
「祖父母が孫の教育費として、まとめてお金を渡したいと言っている」「数年前に孫名義の教育資金口座をつくったけれど、制度が終わったと聞いた。口座のお金はどうなるのか」——親世代・祖父母世代の両方から、こうした疑問を聞くことがあります。
祖父母などが孫に教育資金をまとめて渡すとき、1,500万円まで贈与税がかからない特例(教育資金の一括贈与の非課税措置)は、2026年3月31日で終了しました。ただし、すでにある口座がすぐに使えなくなるわけではありません。この記事では、国税庁と文部科学省が公表している資料をもとに、いまある口座の扱い・30歳時点の残額・贈与者が亡くなったときの相続税・これからの教育費の渡し方を整理します。
親から株を贈与された場合の評価額や取得価額は親から株をもらったら(生前贈与)どうなる?、子ども名義の証券口座は子ども名義で投資はできる?で説明しています。この記事は教育資金の一括贈与の話に絞ります。
結論:新しく使うことはできない。すでにある口座は契約が終わるまで使える
先に要点をまとめます(2026年10月16日時点で確認できた内容です)。
- 2026年4月1日以後の贈与には、この特例は使えない:対象は2013年(平成25年)4月1日から2026年(令和8年)3月31日までに行われた贈与です。新しく口座をつくることも、既存の口座に追加で非課税の拠出をすることもできません
- 3月31日までに拠出したお金は、契約が終わるまで非課税のまま使える:文部科学省のQ&Aは、期限までに申告書が受理され拠出されたお金は「教育資金管理契約の終了時まで、引き続き非課税措置の適用を受けることが可能」としています
- 使い切れずに残ると、契約終了時に贈与税の対象になる:原則として孫が30歳になった日に契約が終わり、残額は贈与があったものとされます
- 贈与者(祖父母など)が契約期間中に亡くなると、残額が相続税の対象になることがある:孫が23歳未満・在学中などの場合は原則として除かれます
- 都度払いの教育費は、もともと贈与税がかからない:必要なときに直接教育費に充てる分は、特例がなくても非課税です。ただし預金したり投資に回したりすると対象になります
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 非課税の対象になる贈与 | 2013年4月1日〜2026年3月31日の贈与 | 国税庁 No.4510/文部科学省Q&A |
| 非課税の上限 | 受贈者1人につき1,500万円(うち学校等以外への支払いは500万円まで) | 文部科学省Q&A |
| 契約が終わる時期 | 原則30歳。在学中・教育訓練の受講中なら最長40歳まで | 文部科学省Q&A |
| 終了時の残額 | 贈与税の対象(2023年4月1日以後の拠出分は一般税率) | 文部科学省Q&A |
| 贈与者が亡くなったとき | 管理残額を相続等で取得したものとみなす(例外あり) | 国税庁パンフレット/文部科学省Q&A |
出典:国税庁 タックスアンサーNo.4510「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」、文部科学省「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A」(令和8年4月現在)
そもそも「教育資金の一括贈与」とはどんな制度だったのか
この特例は、祖父母や父母などの直系尊属が、30歳未満の子や孫の教育資金として、金融機関を通じてまとめてお金を渡したとき、1,500万円までを贈与税の対象外にする制度です。形は信託・銀行預金・証券会社での有価証券購入の3つで、いずれも金融機関を通じて「教育資金非課税申告書」を出します。受贈者は前年の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件です(2019年4月1日以後の贈与)。叔父・叔母や兄弟からの贈与は対象外です。
引き出すときは、領収書などで教育費に使ったことを金融機関に示します。教育資金は次の2種類です。
| 区分 | 例 | 上限 |
|---|---|---|
| 学校等に直接払うもの | 入学金・授業料・保育料・施設設備費・入学試験の検定料、学用品・修学旅行・給食費など | 1,500万円の枠内 |
| 学校等以外に払うもの | 学習塾・そろばん・水泳・ピアノなどの月謝、通学定期券代、留学の渡航費など | 1,500万円の枠のうち500万円まで |
500万円は1,500万円に上乗せされる枠ではなく、1,500万円の内訳です(文部科学省Q&A Q1-5)。また、23歳以上になると、塾や習い事などの費用は教育訓練給付金の対象となる講座の費用に限られます。
出典:国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」
いまある教育資金口座はどうなる?「使える」「追加できない」を分けて考える
2026年3月31日までに拠出したお金がある口座は、終了後も教育費としての引き出しはできますが、追加の非課税拠出はできません。教育費以外に使った分は課税の対象になります(文部科学省Q&A Q1-6)。いまある口座では「残高をいつまでに、何に使うか」を考えることが大切です。

領収書の提出方法や期限、払い出しの手続きは、口座のある金融機関ごとに決まっています。制度が終わったあとも手続きは続くので、口座をつくった金融機関に一度確認しておくと安心です。
30歳で契約が終わったら、残ったお金はどうなる?
教育資金管理契約は、次のうちいちばん早い日に終わります(文部科学省Q&A)。
- 受贈者が30歳になった日(在学中・教育訓練の受講中で届け出た場合を除く)
- 30歳以降、在学・受講に当たる日がなくなった年の年末
- 受贈者が40歳になった日
- 残高がゼロになり、契約を終える合意をした日
30歳以降も続けるには、30歳になった日の属する月の翌月末日までに、在学または教育訓練の受講を示す書類を添えて金融機関に届け出る必要があります。翌年以降も続けるなら、毎年12月31日までに届け出ます。届け出がないと、30歳になった日に契約は終わります。
契約が終わったときに、非課税で拠出した額から教育費として使った額を引いた残額があると、その残額は契約終了時に贈与があったものとされます。贈与税の申告は受贈者(孫など)が行います。
税率にも注意が必要です。2023年4月1日以後に拠出した分の残額は、18歳以上の人が祖父母や父母から贈与を受けたときに使える「特例税率」ではなく、税率の高い「一般税率」で計算します。2023年3月31日以前の拠出分は、受贈者が18歳以上なら特例税率です。
計算は国税庁のタックスアンサー「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」で確認できます。
祖父母が契約期間中に亡くなったら:相続税の対象になる場合・ならない場合
契約期間中に贈与者が亡くなると、原則として、その日の管理残額(使っていない残額のうち一定の計算をした額)を、受贈者が贈与者から相続等で取得したものとみなします。相続税の申告が必要かどうかは、ほかの遺産と合わせて基礎控除を超えるかで決まります。
| 受贈者の状況(贈与者が亡くなった日) | 管理残額の扱い |
|---|---|
| 23歳未満 | 原則として相続等で取得したものとはみなされない |
| 学校等に在学中 | 同上(在学を示す書類を届け出た場合) |
| 教育訓練給付金の対象講座を受講中 | 同上(受講を示す書類を届け出た場合) |
| 上記以外 | 相続等で取得したものとみなされる |
ただし、2023年4月1日以後に拠出した分は、亡くなった人の相続税の課税価格の合計が5億円を超える場合、上の例外(23歳未満など)は使えません。
さらに、受贈者が孫など子以外の場合、2021年4月1日以後に拠出した分に対応する管理残額には、相続税額の2割加算が適用されます。一方、2019年3月31日以前の拠出分などは管理残額に含まれません。拠出した時期によって扱いが違うので、金融機関で管理残額を確認したうえで、税務署か税理士に相談するのが確実です。
出典:国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」、文部科学省Q&A「制度の概要」(注1)
これから孫の教育費を渡すなら:3つの方法と注意点
特例が終わったあとも、教育費の援助そのものができなくなったわけではありません。代表的なのは「都度払い」と「暦年贈与」です。年110万円を超えてまとめて渡すと、教育費の名目でも超えた分に贈与税がかかります。
都度払い:もともと非課税。ただし「貯める・増やす」はできない
国税庁は、扶養義務者(祖父母も含まれます)から生活費や教育費に充てるために受け取った財産は贈与税がかからないとしたうえで、対象は「必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます」と説明しています。入学金や授業料を祖父母が学校に直接払う、請求のたびに渡すといった形です。
一方で、教育費の名目でも、預金したり株式や不動産の購入に充てたりすると贈与税の対象になります。「孫のNISAで運用しておいて」と渡したお金は、都度払いの非課税には当たりません。
出典:国税庁 タックスアンサーNo.4405「贈与税がかからない場合」
暦年贈与:年110万円の基礎控除と「足し戻し」
1年間(1月〜12月)に受け取った贈与の合計が110万円以下なら、贈与税はかかりません。ただし、相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった人から生前に受けた贈与は、一定期間分が相続財産に足し戻されます(生前贈与加算)。2024年1月1日以後の贈与からこの期間が相続開始前7年以内に段階的に延びており、亡くなった日によって3年〜7年の間で変わります。孫が相続や遺贈で財産を受け取るかどうかでも扱いが変わるため、まとまった額を渡す前に税理士に確認してください。
出典:国税庁 タックスアンサーNo.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
子どもや孫の名義で口座をつくり、親や祖父母がお金を入れて管理し続けると、名義と実際の持ち主がずれる「名義預金」と判断されることもあります。この点は家族名義の証券口座で取引してもいい?で詳しく説明しています。
「孫の教育資金を運用で増やしませんか」という勧誘に注意
山崎正義は、投資で一発逆転を狙って300万円を失った経験があります。そのとき痛感したのは、「大切な目的のためのお金」ほど、増やそうとして焦りやすいということでした。制度の終了や改正は、「今のうちに」「非課税のうちに」と急がせる勧誘の口実になりがちです。
- 「教育資金の非課税枠が使える」と言われたら疑う:2026年4月1日以後の贈与には特例は使えません。新規で「非課税で預けられる」と勧める話は、制度の説明として誤っています
- 業者の登録を確かめる:投資を勧誘する業者は、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で登録の有無を確認できます。登録がないのに勧誘してくる業者とは取引しないでください
山崎の見解:制度が終わっても「都度払い」という一番シンプルな方法は残っている
一括贈与の特例は便利な一方で、30歳時点の残額や贈与者が亡くなったときの扱いなど、あとから考えることが多い制度でした。すでに口座がある家庭は、残高と孫の年齢を並べて「いつまでに何に使うか」を一度確認しておくのがよいと山崎は考えています。これから援助する家庭は、まず「必要なときに直接払う」という形で十分かどうかを考えてみてください。
関連報道:ダイヤモンド・オンライン「税務署が見る『孫への1500万円贈与』、大損する人のNG勘違い」
よくある質問
Q1. 2026年3月に駆け込みで拠出しました。非課税は使えますか?
2026年3月31日までに金融機関が教育資金非課税申告書(または追加の申告書)を受理し、同日までに拠出されたお金であれば、契約が終わるまで非課税の対象です(文部科学省Q&A Q1-2)。受理日や拠出日は金融機関の記録で確認してください。
Q2. 孫が大学を卒業したあとも、口座のお金を使えますか?
契約が続いている間は、教育資金としての払い出しはできます。ただし23歳以上は、塾や習い事などの費用が教育訓練給付金の対象講座に限られます。30歳を過ぎて続けるには、在学や受講の届け出が必要です。
Q3. 30歳で残ったお金は、だれが申告しますか?
贈与税の申告は受贈者(孫など)本人が行います(文部科学省Q&A Q1-13)。残額や拠出の時期は金融機関から確認できるので、契約終了の前に問い合わせておくと慌てずに済みます。
Q4. 祖父母が孫の塾代を毎月払うのは問題ありませんか?
必要なたびに教育費として直接充てるのであれば、贈与税はかからないとされています(国税庁No.4405)。まとめて渡して孫の口座に貯めておく形だと、贈与税の対象になることがあります。
Q5. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例も一緒に終わったのですか?
終わっていません。結婚・子育て資金の一括贈与の非課税は別の制度で、国税庁のタックスアンサーNo.4511(令和8年4月1日現在法令等)では、2027年(令和9年)3月31日までに取得した信託受益権などが対象とされています。教育資金の特例と対象になる費用が重なる部分がありますが、同じ領収書で両方から払い出すことはできません(文部科学省Q&A Q1-7)。
困ったときの相談先
- ① 消費者ホットライン(188)
- ② 警察相談専用電話(#9110)
- ③ 法テラス
- ④ 日本弁護士連合会
- ⑤ 金融庁 金融サービス利用者相談室
贈与税・相続税の申告が必要かどうかや計算のしかたは、税務署の電話相談センター(国税局電話相談センター)や税理士に、口座の内容は口座をつくった金融機関に確認してください。
山崎から一言



制度が終わったと聞くと「何か手を打たないと」と焦りがちですが、すでにある口座は契約が終わるまで使えます。まず残高と孫の年齢を確かめる。急ぐのはそのあとで十分です。



本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。制度の内容は2026年10月16日時点で国税庁・文部科学省が公表している資料にもとづきます。個別の申告の要否や税額は、税務署または税理士にご確認ください。












